保険会社がクルマの自動運転推進のナゼ 走行実験の導入支援、地方交通に活路
技術的には「ほぼ確実」 いまの議論は
ティアフォーの加藤さんによると、「未経験の自治体がイチから自動運転の実証実験を行おうとすれば、開始までに1年から2年を要します」とのこと。ティアフォーとアイサンテクノロジーがこれまでの積み重ねてきた実験のノウハウと、1300万件の自動車保険契約者を抱える損保ジャパン日本興亜が持つ事故データを掛け合わせることで、実験開始の許認可までを2か月から3か月、実際の手間としては数日レベルまで短縮することができるといいます。
アイサンテクノロジーの佐藤直人さんは、実験にかかるコストの多くが、実験の許可を得るためのリスク検証で関係者が現地に赴き、過去の事故事例などを踏まえてデータを積み重ねていくことに要しているといいます。今回のパッケージでは、実験地域に3次元測量機器を搭載した車両を走らせ、実際の走行環境を忠実に再現した3次元の地図データを作成、これを「自動運転シミュレーター」に読み込ませ、3社が持つデータも活用しつつ、ウェブ上でリスク検証ができるそうです。
また、実験に際しては自動運転システム搭載車両を提供するとともに、損保ジャパン日本興亜が立ち上げた「コネクテッドサポートセンター」による遠隔の走行監視サービスを提供。事故を補償する保険商品もセットにすることで、地域の特性を考慮した計画的な実証実験が可能になるといいます。
ティアフォーの加藤さんによると、「自動運転ができるか」という技術的検証は、これまでの実証実験を通じてほぼ完了しており、2018年くらいからは、社会にどう受容してもらうか、法や規制をどう整備するかといった点に議論が移っているとのこと。特に社会の受容を広げていくうえで、「保険」のあり方が重要になっているといいます。一方の損保ジャパン日本興亜も、クルマの安全技術が発達し追突事故も激減するなか、「自動車保険のディスラプション(崩壊)が起こっている」(西澤社長)といい、保険からサービス産業への転換を図るとしています。
3社は今回の「自動運転モビリティ導入支援」を、2019年後半には試験提供、そして遅くても2020後半には国内全域に広げていくそうです。
【了】
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