日英なぜ急接近? 英軍艦「モントローズ」来日と一般公開の背景にブレグジット問題

イギリスと日本が急接近の背景にEU離脱問題

 2018年以来、日本を訪れたイギリス海軍の軍艦の数は、今回の「モントローズ」を含めて実に4隻にも上ります。これは、同じ期間に日本を訪れた他国の軍艦の数と比較しても異例の多さです。これらのイギリス海軍艦艇は、基本的に前述した瀬取り監視を主な目的として派遣されているのですが、その実、近年において日本とイギリスの関係が緊密になってきているということも関係していると、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は感じます。

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ホストシップを務めた海上自衛隊の護衛艦「むらさめ」の艦尾より(2019年3月9日、稲葉義泰撮影)。

 近年の日英関係については、安倍総理が2019年1月10日にロンドンで行われた日英首脳による共同記者会見において「(1902年に締結された)日英同盟以来の親密な関係を構築している」と説明しているとおり、非常に緊密な関係を構築しています。その背景には、イギリスがヨーロッパ連合(EU)から離脱(ブレグジット)した後の、アジアにおける経済進出や兵器輸出を見据えて、日本との連携を通じた自国のプレゼンス(存在感)強化を図っている動きがあります。加えて、日本としても中国の海洋進出に対し、なるべく多くの国々と連携して対抗していきたいという思惑があり、さらにイギリス自身も、特に南シナ海における国際法の原則を無視した中国の姿勢は許容できないということもあって、こうした両国の利害関係が一致したことも挙げられます。

 今後、この関係がより深化すれば、イギリスは日本にとってかけがえのないパートナーとなっていくことが予想されますが、今回の「モントローズ」公開はこうした新たな日英関係を象徴するようなできごとといえるでしょう。

【了】

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