JR東海らしからぬ?サイト「いいもの探訪」の狙い ネット通販、鉄道会社の強みとは?
直接、現地訪問、でも大企業であることがハンデに
現在、「いいもの探訪」で取り扱う商品は、宍戸さんら5人の担当社員が、ほとんど自ら見つけています。
地域活性化プロジェクトのアシスタントプロデューサーである上野美奈さんも、各地をまわっているひとり。
「商品は、雑誌やネットなどで調べるところから始めます。『これは』というものを見つけたら、まずはお電話ですね。そのうえで生産地に伺って、事業の仕組みですとか、沿線を盛り上げたいという思いを伝えます」
上野さんによると、コンセプトには共感してもらえても、必ずしもトントン拍子に話は進まないと言います。例えば、奈良の老舗和菓子店、萬々堂通則の「糊こぼし」。春を告げる行事として知られる東大寺二月堂(奈良市)の「お水取り」に合わせて作られる、椿の花をかたどった美しい生菓子です。JR東海は「うまし うるわし 奈良」キャンペーンを展開していることもあり、ぜひ「いいもの探訪」で取り扱いたいと、上野さんが直接店舗を訪問しました。ところが、小さな店舗で手作りしているため、「全国から注文が殺到してしまうと対応できない」と難色を示されてしまいます。
そこで、上野さんたちが提示したのは、思い切った限定商品とすることでした。
「『いいもの探訪』で取り扱うのは1日5セットまでとすることで、引き受けてもらうことができました」
この数では、いくら人気商品でもなかなか利益を出すことはできません。しかし、コンセプトは「沿線の『いいもの』を通じて地域を活性化すること」。逸品を通じてその地域を知ってもらい、将来的にJRを利用して、その町とお店を訪れる人が増えてくれれば良いのです。
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