磁気からICへ…平成の鉄道きっぷはITとともに進化 その変遷を振り返る

自動改札機導入と並行してICカード開発も進む

 JR東日本は山手線の駅から自動改札機の設置に着手し、翌1991(平成3)年3月に自動改札機に直接投入可能なプリペイドカード「イオカード」のサービスを開始。営団地下鉄も同年11月に開業した南北線(赤羽岩淵~駒込)で使用できる「NSメトロカード」を導入、1996(平成8)年には営団地下鉄・都営地下鉄全線で使用できる「SFメトロカード」に発展します。これらのシステムは、将来的な統合を考慮してイオカードと共通の規格が採用されていました。

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JR東日本が導入していた磁気プリペイドカード「イオカード」(乗りものニュース編集部撮影)。

 一方、この裏では次世代に向けた研究開発が行われていました。ICカード乗車券の研究は国鉄時代の1985(昭和60)年に始まり、民営化後はJR東日本に引き継がれて開発が進められていました。

 いまの感覚からすると、当時は自動改札機の本格導入もしていないのに、いきなりIC乗車券を研究するというのは、少々飛ばしすぎではないかと思うかもしれません。しかし磁気乗車券はすでに20年もの歴史があり、1980年代には次世代のカードとしてICカードが登場していました。また、定期券を駅員に見せて通過する有人改札に対して、自動改札機では、磁気定期券をパスケースから出して機械に投入しなければなりませんから、パスケースに入れたまま読み込めるICカードであれば、利用スタイルが変わらないという自然な考えだったのです。

 ICカードの開発は磁気式の自動改札機導入と並行して進められ、様々な苦難を乗り越えて「Suica」として完成。自動改札機の更新サイクルは約10年、2000(平成12)年に迎える最初の更新で、早くもICカード乗車券の導入が決定します。地下鉄・私鉄もSuicaの技術を採用し、2007(平成19)年に共通ICカード「PASMO」を導入しました。

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コメント

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1件のコメント

  1. >新幹線に乗ったら数万円チャージしておいたICカードから運賃と特急券がピっと引き落とされる、という未来は来ないでしょうし、誰も期待していません
    既にJR東日本がSuicaでタッチでGo!新幹線をやっていますが?
    しかもこれのJR東日本管内フル規格新幹線内での完全導入の噂まであるようですよ。