軍事大国シンガポールの「軍」のあり方 なぜ面積・人口規模に見合わぬ重武装なのか?

そのあり方は自衛隊の参考になるか

 シンガポールは徴兵制を施行しており、男性には22か月から24か月の兵役が義務付けられています。兵役を終了した49歳までの男性は、有事の際には召集を受けて軍で勤務する仕組みとなっており、シンガポール軍は最大で約125万6000人規模となります。

 ただ、シンガポールの人口は約563万8000名でしかなく、有事の際はともかく、平時において大規模な軍隊を維持することは困難です。このためシンガポール軍は少ない人員で防衛力を維持すべく、無人防衛装備の導入を積極的に進めています。

 シンガポール空軍はイスラエルから「ヘロン1」と「ヘルメス450」の2種類のUAV(無人航空機)を導入して運用しているほか、陸軍も国産のUAV「スカイブレード」を80機保有しています。また海軍も無人運用が可能な高速艇「Venus16」を導入しており、将来的には機雷の掃討や対潜水艦作戦への活用が計画されています。

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シンガポール空軍が運用しているUAV「ヘルメス400」(竹内 修撮影)。
シンガポール海軍が運用している無人運用も可能な高速艇「Venus16」(竹内 修撮影)。
STエンジニアリングが開発を進めているUGV(無人車輌)「ジャガー6」(竹内 修撮影)。

 前にも述べたように、シンガポールは国土の面積が小さく、シンガポール軍、とりわけ陸軍は優れた防衛装備品を揃えていても、国内ではそれを使用するための訓練が十分にできないという問題を抱えています。このためシンガポールは1975(昭和50)年に台湾とのあいだで、シンガポール陸軍の訓練を台湾で行なう「星光計画」という取り決めを締結しています。シンガポールは1990(平成2)年に台湾と断交しましたが、星光計画による台湾での訓練は継続されており、また近年はより訓練環境の整った、オーストラリアなどでの訓練も積極的に行なっています。

 日本は少子高齢化に歯止めがかからず、将来の自衛隊の人員確保が困難になることが予想されます。またシンガポールに比べてはるかに国土は広いものの、実弾射撃訓練などに適した訓練施設はあまり多くありません。こうした状況を鑑みると、少ない人員で防衛力を維持するため、無人防衛装備品の導入を進め、また訓練環境の整った海外での訓練を積極的に行なっているシンガポール軍のあり方は、今後の自衛隊にとって、大いに参考になるのではないかと筆者は思います。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. この記事読むまでシンガポールの軍隊なんて存在すら気にしたことなかったが、
    非常に勉強になった
    こういう奥深い記事もっと増やして欲しい!