旧陸軍「九五式軽戦車」が3たび日本人の手へ戻るまで 当事者に聞くその紆余曲折と今後

まずはボービントン戦車博物館でお披露目

 九五式軽戦車は、今年6月28日から30日にイギリスのボービントン戦車博物館で開催されるイベント「タンクフェスト」でお披露目された後、日本人からの委託展示の形で同博物館にしばらくのあいだ保管、展示される予定になっています。日本へ里帰りするには、受け入れる「箱」を創るという次のステップが待っています。

 古くて武装していないとはいっても、本物の戦車を民間人がそのまま輸入することはできません。実際に日本へ里帰りさせるには、受け入れ側の「箱」となる「博物館法」に則った博物館が必要で、創る会をはじめ、数年前から具体化に向け動きが見られます。

 2017(平成29)年6月には、防衛大臣経験者を含む与党国会議員を中心とした「防衛技術博物館の設置を実現する議員連盟」が設立されており、防衛省、経済産業省ほか関係省庁とも調整が行われ、輸入のための枠組みは整えられつつあります。また建設予定地である静岡県御殿場市にも市議会議員による議員連盟が設立されて、行政レベルでの準備も進んでいます。

 創る会の小林代表は、「日本人は『技術遺産の保存が下手』だといわれてきました。確かに、戦車、戦闘機などのなかには、せっかく里帰りしても結局、手放すことになってしまったものもあります。しかし私たちは過去の失敗を教訓に、里帰りの前提として、『公設の博物館の建設』を企画しています。持続可能な保管・展示体制の、道筋は見えつつあります」と強調します。日本各地には、すでに兵器を含む機械遺産を保管、展示している公設の博物館は複数存在しています。

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三菱製エンジンを前に作業の打ち合わせ(画像:NPO法人 防衛技術博物館を創る会)。
修復済エンジンを車体へ搭載する様子(画像:NPO法人 防衛技術博物館を創る会)。
エンジン搭載済みで可動状態に(画像:NPO法人 防衛技術博物館を創る会)。

「九五式軽戦車里帰りプロジェクト」は、昭和の機械遺産を平成の人たちの力で取り戻すプロジェクトでしたが、令和には博物館を創って九五式軽戦車を受け入れるというステップが待っています。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. どうせ疾風のようにスクラップになるか零戦のように売却する羽目になるかのどちらかだろうから、買い戻さない方が無難では?