地方の「大阪への足」ピンチ G20期間中の高速バス大規模運休、影響は広範に

「神戸で鉄道に乗り換えて」

 徳島と大阪のあいだでは、大塚製薬(鳴門市が発祥の地)や日亜化学工業(LEDの世界的メーカー。阿南市に本社)を筆頭とする徳島の企業からの(または徳島の企業への)出張や、「ふだんは地元で買い物をするけれど、おしゃれな服は大阪の有名店で」というショッピング需要など、多くの移動があります。もともと太い人的交流があるため、特に週末には学生や単身赴任者、あるいは親の介護など様々な帰省需要が重なります。高速バス大阪~徳島線の全便運休は、徳島の人の生活に多大な影響を与えることでしょう。

 そのため、各バス事業者は今回の事態を受け、「神戸~徳島線と鉄道(神戸~大阪)の乗り継ぎを」と呼び掛けています。神戸の中心市街地、三宮で神戸~徳島線のバスが発着する三宮バスターミナル(ミント神戸)や、神姫バス三ノ宮バスターミナルは、JRや阪神、阪急の駅から徒歩ですぐ。神戸淡路鳴門道の本線上にある高速舞子バス停も、エレベーターとエスカレーターでJR舞子駅および山陽電鉄の舞子公園駅と結ばれており、乗り換えは簡単です。神戸~徳島線を運行する神姫バスのバス事業部営業課長 佐藤 匡(ただし)さんは、「共同運行する徳島バス、阪神バス、山陽バスと協力し、続行便を最大限設定して、京阪神と徳島県のあいだの移動確保に努めたい」と話します。

 バス事業者から見ると、このような大型運休は経営的に大きな痛手です。たとえば海部観光(徳島県美波町)は、2000年代に高速バスへ後発参入した事業者ながら、徳島~大阪線を14往復にまで増便させ、いまでは同路線が会社の屋台骨となっています。徳島~神戸間に区間を短縮しての増便も検討しましたが、容易ではありません。そこで、「全面運休は自社の乗務員が一堂に会する数少ないチャンスでもある」(同社の打山 昇会長)と受け止め、導入準備を進めている最新型の運行管理システムの説明も兼ねて、6月27日(木)からの4日間で乗務員向けの安全運行研修を実施するということです。

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梅田の阪急三番街バスターミナルにおける発車案内。四国方面へのバスが頻発する(成定竜一撮影)。

 2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」においては、今回と同様に首都高速の大規模交通規制が予定されると同時に、選手や運営スタッフ、観客を輸送するバスの不足が予測されています。路線タイプごとの社会的影響を考慮しながら高速バスの一部を運休とし、オリンピック・パラリンピック輸送に転用することもひとつの案だと考えられます。バス業界には、このたびの「G20大規模運休」を乗り切ったあと、その影響を見極め、今後の参考にすることが求められています。

【了】

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コメント

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8件のコメント

  1. 仕方ないね、我慢、我慢

  2. 堺在住のネット通販業者です。配送業者の運休・遅延が予想されるので、やむなく4連休としました。
    経済波及効果、関西で300億円、国内全体で500億円と試算されているようだが、マイナス経済効果の間違えじゃないの。

  3. そしてタグ上でハブられる京阪……ちなみに京阪沿線や京都駅と関西空港を結ぶリムジンバスに大幅な影響が出るようですよ。

  4. 無視して運行してこその公共交通。

    協力する必要なし。

    • あんたみたいな自己中は黙れ
      スペインやイギリスで起きたテロ事件見てまだ対岸の火事みたいなこと抜かすか?
      日本も明日は我が身なんだぞ。

  5. 期間中、不要不急の大阪市内への立入は自粛して下さい。

    さぁ俺の通勤どうするかね〜…

  6. 土地勘のないよその地方の方がよく勉強しましたね、的な記事。。。

    • 面白く拝読させていただいておりますもんでね、くだらん地元風を漂わせたような書き込みは遠慮していただけますかね