緊張走るホルムズ海峡、そもそもどんな場所? 現場をよく知る船長に聞く実際のところ

ペルシャ湾とオマーン湾とをつなぐホルムズ海峡は、世界中のタンカーが行き交う海の要衝ですが、かねてより操船上も治安上も難のある場所でもあります。どのようなところなのでしょうか、外航船の船長に話を聞きました。

問題は操船上の安全のみならず

 このように、もともと航海上の難所として認識されてきたホルムズ海峡ですが、操船上の「安全」に関わる難所であるのと同時に、やはり「『治安』上の問題が、過去にもあった海域であると認識しています」と本元船長はいいます。

「1980年代のイラン・イラク戦争、その後の湾岸戦争やイラク戦争、最近でいえばイスラム国の台頭など、ホルムズ海峡には政治的、治安上の不安定性さが存在しています。事実、同海峡において何者かにより一般商船が攻撃を受けた過去の事件も認識しており、『注意を要する海域』のひとつとの印象があります」

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今回、話を聞いた日本郵船海務グループ安全チーム チーム長 本元謙司船長(2018年3月15日、乗りものニュース編集部撮影)。

 本元船長はまた、「昔から政治的な衝突のある場所」との認識も示しました。

 この「政治的な衝突」の代表例ともいえるのが、1980年代のイラン・イラク戦争中に発生した、いわゆる「タンカー戦争」です。当時、イランとイラクはお互いに戦争を有利に進めるために相手に痛手を負わせるべく、国家の経済活動にとって欠かせない石油精製施設や、ペルシャ湾を航行する各国の石油タンカーを無差別に攻撃する作戦をお互いに実施したのです。その結果、多くのタンカーにミサイル攻撃や機雷の触雷による被害が発生し、ついには各国の要請によりタンカーの護衛に当たっていたアメリカ海軍の艦艇にまで被害が及びました。

 こうした過去の歴史を振り返ると、確かにアメリカ主導の有志連合への参加には慎重な意見も見られますが、一方でホルムズ海峡の安定化は日本にとっても重要であり、そのためには有志連合への参加もひとつの有用なオプションといえるでしょう。

 冒頭で本元船長が述べていたように、世界経済を支え、かつ日本の経済にとっても欠かすことができないホルムズ海峡に1日も早く平穏が戻ることを、筆者も切に願います。

【了】

ホルムズ海峡最狭部にあり船の主要変針目標となる島、As SalamahとDidamarを北側から。右下図のちょうど矢印の先あたりに位置する(国土地理院の地図を加工)。

【図】一目瞭然、原油のホルムズ&マラッカ依存度

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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