暫定2車線区間のワイヤーロープ効果アリ 対向車線への飛び出し激減 新たな課題も
ロープへの接触事故そのものは多発している
前出の通りワイヤーロープへの接触事故そのものは、2017年度と2018年度に計551件発生しており、国土交通省ではロープへの接触を防止する対策も進めています。
ワイヤーロープが設置された区間(IC間別)について、ラバーポールだった2016年の事故率と、2018年度のワイヤーロープへの接触事故率を比較すると、多くの区間で後者のほうが高くなりました。
国土交通省高速道路課は、「2016年の時点では、ラバーポールに接触しても、そのまま走り去っていったケースが相当あると考えられます」といい、一概にワイヤーロープの設置で事故が増えたとは断定できないといいます。ただ、2018年5月に開催されたワイヤーロープに関する国土交通省の技術検討委員会資料によると、ワイヤーロープへの接触事故における車両の損傷程度は「自走不可」が約8割に上るといい、特に右カーブの区間で事故が多いそうです。
こうしたことから、国土交通省はワイヤーロープの左右に白線、黄色線および「導流レーンマーク」(ドライバーに注意を促すために引かれる白の点線。一般的にカーブの手前などに施工される)を引き、さらに、乗り上げると音がする「凹凸路面標示」も施工するといった接触事故対策を施しています。それに追加して、ロープの支柱を着色したり、反射材を取り付けたりするなど、ワイヤーロープの視認性を向上させる取り組みも行っているそうです。
国土交通省の技術検討委員会は、「まれなケースはあるものの、多くの飛び出し事故は防止できていることから、引き続きワイヤロープの設置を進める」という方針を打ち出しています。高速道路会社の管理する区間は、おおむね2021年まで、それ以外の区間については、おおむね2023年までの設置完了を目指すそうです。
【了】
※誤字を修正しました(8月8日16時40分)。
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