核爆雷グライダー「アイカラ」とは? 海中にひそむ潜水艦を一網打尽 650km/hで飛翔

いまも昔も敵の原子力潜水艦という存在は厄介なものですが、冷戦時代は特に、有事に逃したら負けという「見えない脅威」でした。見つからないならその一帯もろとも叩けばいい、という発想の「核爆雷」、まさに時代の徒花です。

イギリスの「アイカラ」がひと味違うワケ

 このように対潜水艦作戦に大きな変革をもたらした「アイカラ」は、オーストラリアだけではなくイギリスやニュージーランド、さらにはチリやブラジルでも運用されました。なかでもイギリス海軍が運用した「アイカラ」には、オリジナルにはなかったある能力が加えられました。それが、核爆雷の搭載能力です。

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イギリス海軍リアンダー級フリゲート「オーロラ」。艦首の砲が撤去され、「アイカラ」の発射装置を搭載した(画像:イギリス国防省)。

「爆雷」とは、海中に投下した後に設定した深度で爆発する対潜兵器で、「核爆雷」はその名の通り核爆発装置を用いた爆雷のことです。核爆雷は、海中の広い範囲に大きな衝撃を加えることができるため、高性能な誘導兵器がなくとも一定の範囲内に存在する潜水艦にダメージを与えることができるという特徴を有しています。

 実はイギリス海軍にとっては、この「一定の範囲内への攻撃」というのが非常に重要なものでした。水中を高速で進み、なおかつ深い深度まで潜航する能力を有していたソ連の高性能な原子力潜水艦を攻撃するためには、核爆雷が必要だったというわけです。イギリス海軍では、1960年代前半に就役したリアンダー級フリゲート8隻を改修し、「アイカラ」の運用能力を付与しました。

「アイカラ」は、その優れた性能により長らく各国海軍で運用が続けられましたが、老朽化が進むにつれてシステム維持費が高額になっていき、ついには1990年代に順次退役となりました。

【了】

【写真】核には核を 飛ばす時には人類終了「デルタダート」

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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