「迷駅」名鉄名古屋駅のカオス ゆえの工夫が面白い! 行先編成種別バラバラ列車たち
名鉄名古屋駅は、線路とホームが限られているため、ひとつの乗り場から様々な方面、種別の列車が次々と発車していきます。その状況から「カオス駅」や「迷駅」とも称される名古屋鉄道最大のターミナル駅の工夫を見ていきます。
長く続く「四面楚歌」状態に解決の兆し
仮にどこかの路線で遅延があれば、名鉄名古屋駅を発着させる列車の順序に変更が生じることもあります。そのような場合に、係員が直接放送をすることで臨機応変に対応しているのです。加えて、駅の線路がカーブしている構造上、車掌が列車のドアを閉める際にその状態を目視できないため、ホーム上部にある案内ブースからあわせて乗降完了を確認しています。
「こんなに不便な環境なのであれば、お金をかけてでも敷地を拡げて線路やホームを増やせば良いのでは」と考える人もいるかもしれませんが、それが大変難しい理由がこの駅の立地にあります。名鉄名古屋駅の位置する地下は、近鉄、東山線、桜通線および地下街がひしめき合っており、発着線を増やすことは困難です。
しかしそれでも、2017年に名鉄がリニア中央新幹線の開業にあわせた「名鉄名古屋駅地区再開発」計画で駅拡張を検討している旨を発表し、さらに2019年3月には同駅を南北方向に延長し4線化を計画していることも公表しました。具体的な内容は未定ですが、中部国際空港行き列車の専用ホームを設けることが検討されており、海外からの利用客などが間違えにくいような構造になるようです。
長く続いたこの状態も、近い将来に解決の兆しが見えてきたともいえます。今後リニア開通にあわせて名古屋名物の名鉄名古屋駅がどのように変わっていくか、注目したいところです。
【了】
Writer: 西上いつき(鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表)
大阪府出身。大学卒業後、名古屋鉄道にて運転士・指令員として鉄道運行に携わる。退職後、シンガポールの外資系企業にて国際ビジネスに従事。帰国後は東京を拠点として活動し2019年にIY Railroad Consulting設立、コンサルティング・セミナー・海外向け鉄道関連事業等を行う。東京交通短期大学・特別講師。著書に『電車を運転する技術』。
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