外航貨物船「船長」の仕事を聞く 多彩な業務と船内生活、働き方&なり方、魅力は?

彼女に泣かれて7万円

――もともと船乗りに向いている、向いていないというものはあるのでしょうか?

 センスは多少関係あるかもしれませんね。私など実際、クルマの運転でも、車庫入れや狭い道でのすれ違いは上手い方だと思いますよ。車幅感覚、というのでしょうか。船は夜間に狭い水路を航行することもありますからね。

 そう考えると、パニックになりやすい人は残念ながら向いていないかもしれません。どんな状況でも、頭が真っ白になったらダメですね。

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2008年、アムステルダムにて、貨物の積み込み状況を確認する藤野船長。船長の業務時間のほとんどは、書類仕事や手続き関係などに費やされるという(画像:日本郵船)。

――船に1回乗ると、何日間くらい乗務しているものですか?

 昔は半年から9か月ほどずっと海の上でしたが、いまは労働条件が変わって、4か月から半年くらいですね。

――そんなに長い間、どうやって家族と連絡を取り合うのでしょう?

 いまはインターネットも使えますし、あまり不自由はないですよ。時差や勤務時間によってすぐに連絡を取り合うことができない場合もありますが。若い頃は、インマルサット(衛星電話)でやり取りしていましたが、30分で1万円から2万円くらいかかりました。陸の彼女と電話するとね、「さみしい」とか言って泣くんですよ、シクシクシクシク。そんな通話を切るわけにもいかなくって、月に7万円とかね……そんな時代もありました。

【写真】文字通り巨大船! 藤野船長が乗務していた原油タンカーの同型船

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