間宮羊かんを確保せよ! 旧海軍将兵が大歓喜した特務艦「間宮」 その表と裏の顔とは?

その存在は士気に直結!

「間宮」は、艦内に1万8000人の3週間ぶんの食料が保存できる倉庫、冷凍冷蔵庫があり、さまざまな厨房が並び、専門の職人が軍属として腕を振るうという、海に浮かぶ一大食品製造コンビナートです。アイスクリーム、ラムネ、最中、饅頭などのし好品からこんにゃく、豆腐、油揚げ、麩(ふ)など、海外ではまず手に入らないような多くの加工食品を製造することができました。その製造能力は1日で食パン1t、羊かん1万2000本、ラムネ1万5000本、饅頭4万0000個というものでした。

「間宮アイス」は銀座の資生堂パーラーやコロンバン製に匹敵するといわれ、名物の「間宮羊かん」はレンガのように大きく、開戦後、砂糖や小豆などが希少品となってからもその味は変わらず、老舗有名店の羊かんよりも人気があったそうです。各艦の主計将校が躍起になるのも、無理もありません。

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1940(昭和15)年に発刊された『日本軍艦集:2600年版』(海軍研究社)掲載の「間宮」。運送艦に分類されており特に給糧艦としての紹介はない(国立国会図書館蔵)。

 艦内士官室は、士官のクラス会が開催できるほど客船のサロン並みに広く、クリーニング店や理髪店があるなど、1隻で基地の厚生棟の役割を果たすこともできました。海軍将校だった作家の阿川弘之氏が、著書『軍艦長門の生涯』のなかで「『長門』が連合艦隊の象徴なら、『間宮』は連合艦隊のアイドルであった」と書いているように、連合艦隊の士気に直結した活力源でした。「重要警護対象」扱いされるのも無理からぬことです。

【写真】最中や漬物も! こちらも人気だった給糧艦「伊良湖」

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コメント

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2件のコメント

  1. こういう一点豪華主義みたいな兵站じゃなくて、もっと地道で継続的な兵站が必要だったんだろうなと思いました。

    • はあやってるっつーのそういうのを偏見ていうんだよ