戦闘機はなぜ編隊で飛ぶの? 単独行動は原則ナシ、その歴史的経緯と現代における意義

編隊飛行は「平和の証」

 こうした歴史的経緯から、戦闘機は原則的に単独行動せず、エレメント(ロッテ)が最小単位となっています。たとえばスクランブル発進する際は、絶対にエレメントで発進します。もしエレメントのうち1機でも故障や事故などが発生した場合は任務そのものがキャンセルされ、ほかのエレメントが代わりに発進します。

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典型的なフライト(シュバルム)編隊。右からフライトリーダーの1番機とその僚機の2番機、エレメントリーダーの3番機とその僚機の4番機(関 賢太郎撮影)。

 第2次世界大戦のころのロッテにおける僚機の役割は、極端に言えば攻撃を担う編隊長の「盾」となることです。それでも編隊間隔は50mから数百mは離れていました。現代戦闘機はレーダーや射程が遥かに広い空対空ミサイルを装備します。その結果、様々な状況において射撃のチャンスが得られるため、僚機にも攻撃に参加することが求められます。また無線機も単なる音声通信だけではなく、敵味方の状況や戦術情報など多様なデータが共有可能となったことで、編隊間隔は数kmから数十km離れた、肉眼では確認できないような状態で連携することも可能となりました。

 したがって現在、戦闘機における密集した編隊は、「戦闘態勢にはない」ことを意味していると言えます。飛行場上空で見られるような密集編隊は、徒歩の隊員が規律を正し「行進」するようなものだと考えて良いでしょう。

 ちなみに筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)が知り合いの戦闘機パイロットに密集編隊の意義を聞いたところ、「僚機をしごくためだよ」と冗談半分に返答を得ましたが、半分は事実だったのかもしれません。

【了】

【写真】露アクロチームによる映画のような空中戦闘機動デモ

Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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