歴代戦車の「スピードキング」は? 速さのためなら防御も捨てた! 戦車すらやめた!

スピードのためなら防御は不要!

 ところが、クリスティー戦車は、当時のアメリカ軍における戦車の運用思想に沿うものではありませんでした。そうした理由などもあり、試作の域を脱することはできず、実戦での性能は未知数です。

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車体を極限まで軽くし、機動性を追求したM18「ヘルキャット」駆逐戦車(画像:アメリカ陸軍)。

 制式化され実戦参加したもののなかで最速といえば、たとえば第2次世界大戦中に登場したM18「ヘルキャット」駆逐戦車が挙げられるかもしれません。

 同車は、厳密にいえば戦車ではなく「対戦車自走砲」になり、全周旋回可能な砲塔を持ち外見は戦車のようですが、オープントップで装甲は小銃弾を防ぐ程度の薄さです。しかし、それゆえに重量17.7tと軽量で、高出力の航空機用エンジン搭載ということもあって最高速度80km/hを誇りました。この速さは、元々M18自体が対戦車自走砲としてヒットエンドラン戦法をとるために設計されたことに由来します。ちなみに同時期の戦車で最も速かったのは、イギリスの「クロムウェル」戦車で最高61km/hですから、M18は20km/h近く優速だったことになります。

 この圧倒的な速さの追求は、戦後も続きました。1972(昭和47)年に誕生したイギリスの「スコーピオン」軽戦車は、偵察用として開発されたことから俊足が求められ、最高速度はM18「ヘルキャット」駆逐戦車を上回る80.5km/hを誇りました。

【写真】世界最速戦車の心臓、ジャガー社製の直列6気筒ガソリンエンジン

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