戦車はなぜ集団戦が基本? 運用単位「小隊」「中隊」の意味と戦場での実際のところ

自衛隊の戦車部隊は4両が基本

 戦車の場合は4両で「小隊」を組み、これが部隊単位の基本となります。小隊よりも小さな戦闘単位として、小隊4両を分割し2両からなる「班」というものもありますが、これはあくまでも戦闘時に小隊をふたつのチームにわけるためのもので、基本は小隊で行動します。

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富士総合火力演習で小隊集中射撃を行う90式戦車(2011年8月、柘植優介撮影)。

 4両1個小隊というのが原則で、これが3つ集まると中隊になります。これに中隊長が乗る戦車、すなわち中隊長車が加わり、1個戦車中隊は13両で編成されます。中隊長車は、中隊長が進撃しながら指揮をとる戦車という意味合いのほかに、中隊の予備車という位置付けも兼ねています。予備車があれば、故障や戦闘喪失にも現場で対応可能です。ちなみに中隊になると、拠点となる中隊本部に装甲車やトラックなども配備されています。

 この中隊が複数集まると戦車大隊や戦車連隊となります。ただし、戦車大隊や戦車連隊ともなると、戦車や装甲車以外にも救急車やブルドーザー、レッカー車など支援用の車両も編成に入るため、装備の種類は一気に広がります。

 なお、陸上自衛隊の場合、戦車大隊が複数集まって戦車連隊になるわけではありません。両者は指揮下にある戦車中隊の数の違いで、部隊規模が異なるだけです。2019年現在では、2から3個戦車中隊を持つのが戦車大隊、5個戦車中隊で編成されるのが戦車連隊です。ちなみに冷戦直後の1990年代半ばには、北海道の戦車大隊で約100両の戦車を集中運用した例もありましたが、これはあくまで特例です。

【写真】日本最大の戦車部隊 第7師団第71戦車連隊のパレード

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