戦車はなぜ集団戦が基本? 運用単位「小隊」「中隊」の意味と戦場での実際のところ

戦車と歩兵がタッグを組む理由

 しかし、これだけ大量に戦車があるからといっても、戦車だけで敵陣に向かっていけば、これまた格好の的になります。戦車は一見すると強そうですが、実はハッチを閉めてしまうと、小さな小窓からしか外界を見ることができず、視野は非常に狭くなります。そのため、まとまった数で攻めても、戦車だけだと地雷や落とし穴(対戦車壕)などの障害物に阻まれたり、見えないところから対戦車砲やミサイルで集中砲火を浴びたりして一気にやられるリスクがあります。

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木陰の中をゆっくりと前進する74式戦車。後ろには協同行動をとる普通科部隊の軽装甲機動車が続いている(画像:陸上自衛隊)。

 戦車よりも戦場の周囲が見渡せて、小回りが利くのはやはり歩兵(普通科隊員)です。歩兵は戦車に比べれば敵弾に対して脆弱ですが、戦車のように目立つことなく静かに進撃することが可能です。

 戦車と歩兵が協同行動をとり、お互いに短所を補いながら戦うのはそのためです。歩兵が先回りして、敵の状況を戦車に報告することもあれば、戦車とともに進み、戦車が討ち漏らした敵を歩兵が掃討していくこともあります。

 一方で、歩兵としては、戦車はエンジン音やシルエットで遠方からでも目立つため、敵弾を集めてしまうことから、近くにいてほしくないという声が上がることもあります。

 繰り返しますが、戦車はエンジン音や走行音、大きな図体などで実際は目立つため、実戦では戦車は歩兵と同じように物陰に隠れ、歩兵部隊などと集団行動をとります。戦車といえど、目立つような派手な動き方は自殺行為につながるのです。

【了】

【写真】日本最大の戦車部隊 第7師団第71戦車連隊のパレード

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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