軍用機ベースの旅客機6選 世界的ベストセラー機から戦前の国産長距離飛行艇まで
輸送機転用のベストセラー旅客機たち
名機として名を馳せるボーイング707も、軍用機を母体に開発されました。
KC-135空中給油機の姉妹機ボーイング707
1950年代初頭、ボーイングがジェット機の優位性を見越して自社開発したのが、ボーイング367-80大型輸送機でした。1954(昭和29)年7月に初飛行すると、アメリカ空軍がKC-135空中給油機として採用し、800機以上の大量生産が行われました。
その一方で同社は、ボーイング367-80の開発と並行して、同機の設計を流用した次世代大型旅客機の開発にも着手しました。胴体を太くし、主翼も小改良された旅客機型はボーイング707と名付けられ、旧ソ連のTu-114に遅れること1か月、1957(昭和32)年12月に初飛行しました。
翌年の1958(昭和33)年10月からパンアメリカン航空の大西洋路線で運行が開始されましたが、100人以上の乗客を一度に運べる長距離ジェット旅客機として各国の航空会社で用いられ、総生産機数は1010機を数えます。
戦前に活躍した日の丸軍用機ベースの旅客機
太平洋戦争前は、日本でも国産軍用機ベースの旅客機が存在しました。代表的なものとしては、三菱重工が開発したMC-20が挙げられます。同機は旧日本陸軍の一〇〇式輸送機を民間転用したものですが、一〇〇式輸送機自体が九七式重爆撃機の改設計型でした。
また川西航空機が開発した「川西式四発飛行艇」も数は少ないですが、軍用機ベースの旅客機になります。同機の原型は、旧日本海軍が用いた九七式飛行艇で、旅客輸送用の大型飛行艇として、戦前のごく短期間、横浜港と南洋諸島を結んでいました。
【了】
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
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