自衛隊の「航空ヘルメット」とは?戦闘機とヘリでも違い鉄帽やバイク用とも大きく違う

実は防弾性ナシ

 共通の特徴のひとつである防弾性がないという点について、意外に思われるかもしれませんが、ヘルメット本体と内張り(ライナー)のあいだには発砲スチロールが張り巡らされているだけで、あくまでも衝撃吸収用であるということが、見ただけでもすぐにわかります。本体も軽量なプラスチック製であるため、あまりにも強い衝撃を与えると割れてしまうこともあります。そのため、地上部隊が着用している88式鉄帽のように、頭上で炸裂する砲弾の破片などを防ぐことはできません。

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航空ヘルメットFHG-2IIIを着用して救難展示を行う海上自衛隊のクルーたち(清水 薫撮影)。

 もうひとつの共通点、格納式のバイザーは、スモークシールドの一枚式となっていて、眼球や顔面を保護する役目を持っています。前述の88式鉄帽にはついていないものです。

 ここで興味深いのが、射出座席を使用して高速で空に打ち出される可能性のある戦闘機搭乗員は、基本的にバイザーを下ろした状態での飛行が推奨されているのに対し、陸上自衛隊の回転翼機の場合は、ヘルメットに備わっているバイザーの使用は任意となっている点です。つまり、このバイザーを使用するかどうかは、操縦士が自分で決めることができるということです。

 なお、戦闘機や戦闘ヘリ用のヘルメットには、HMD(ヘルメットマウンテッドディスプレイ)とよばれる装置が組み込まれているものもあり、バイザーに速度や高度などの情報が投影されたり、機関砲やミサイルの照準などと連動したりしているものもあります。F-35A戦闘機用のヘルメットなどは、その最新式といえるものです。一方、陸上自衛隊のヘリコプター用としては、AH-64D「アパッチ・ロングボウ」に片眼鏡スタイルのディスプレイは見られるものの、バイザー投影式のものはまだ採用されていないため、上述したようにバイザーの使用は任意というわけです。

【写真】足元も透けて見えるF-35のヘルメット

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