ジャンボ超え大型旅客機 もう期待できぬのか? 巨大機A380も直面した課題は空でなく…

空港側はなぜ対応が難しい? 大空港でも就航していない場所もある

 そのようななか現れた、「ジャンボ」を超える大きさで、総2階建てのエアバスA380型機。全長、全幅は範囲内に収まっても、駐機場などは、2階の人もスムーズに乗降できるような搭乗橋など相応のものを準備する必要があります。機体重量もボーイング747-400型(約180t)より100t重い約277t。燃料や人が加わればもっと重くなるため、「ジャンボ」はOKでもA380型機は、地面強度の問題で離着陸できない滑走路がでてきます。

 なお、航空輸送の国際ルールなどを定める国際民間航空機関(ICAO)は、駐機場や誘導路を統制する目的で、機体の大きさをA(小さい)からE(大きい)の5段階に分けたコードを設定していましたが、A380型機が登場したことで、新たに6つ目の段階「コードF」を作ります。

 A380型機は国際ルールを再度設定しなければならないような規格外のサイズで、この基準を満たす設備を持つ空港にしか、原則受け入れてもらえないのです。

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JAL塗装の超音速旅客機ボーイング2707の模型(2017年7月、恵 知仁撮影)。

 なお、日本でもっとも利用者が多い羽田空港にはA380型機の駐機スポットもあり、何度か飛来したことがあるものの、実際の路線投入は見送られています。明確な理由は発表されていませんが、一部滑走路や誘導路がA380型機の大きさや重量に対応していないほか、同型機が離着陸したのちに発生する後方乱気流で、後続の飛行機の離着陸が制限される影響もあるそうです。

 ちなみに旅客機以外や、計画段階で中止になった飛行機のなかには、エアバスA380型機を上回るサイズのものもあります。輸送機のアントノフAn-225型機(全長84.0m、全幅84.0m)や、JALが仮発注したものの、計画中止となった超音速旅客機ボーイング2707(全長93.26m、全幅32.60~53.11mで可変式)などがこれにあたります。

【了】

【表】超巨大機「コードF」は2機種のみ ICAOの飛行機コード一覧

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コメント

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4件のコメント

  1. >A380はできるだけ小さくなるよう
    戦艦大和もいろんな事情からコンパクト指向で設計されたという話を。
    理論上まともに飛行できる最大限ってどんななんだろ?
    ガウ攻撃空母とかギガントなどの架空巨人機好きとしては興味がある。

  2. 珍しくまともな記事だな

  3. 380のデザイナーが、747-400を少し超えるサイズでも大丈夫、と考えた根拠が謎だな。
    どうして「コードEの枠内で極力客室容積の大きなものを」って発想にしなかったんだろう。

  4. A380はストレッチ型、貨物型を見越して、
    現行の-800より90t以上の重量増に対応できる主翼が取り付けられています。
    空力的な理想からすれば、翼幅は90mにしたかったのですが、
    747より大型の機体を開発する動きが各メーカーにあった1990年代、
    ICAOは、「全長、全幅が80mを超えてはならない」とするルール
    ”80-metre box”を定めました。
    このため効率が下がるのを承知の上で、翼幅を79.8mとせざるを得ませんでした。
    翼面荷重で比較すると、A340-300の749 kg/㎡、B747-400の738kg/㎡に対し、
    A380-800が663kg/㎡と極端に低いのはこのためです。