まもなく見納め「銀座線渋谷駅」の謎 東急百貨店3階発着の地下鉄 その81年の歴史
スペースがないなら新ビルのなかに駅を 東急の目論み
ふたつ目の謎は、東京メトロの路線である銀座線のホームが、東急百貨店のなかにあることです。銀座線ホーム誕生の歴史には、東急グループと地下鉄の深い関係がありました。
日本最古の地下鉄である銀座線は、浅草~新橋間が「東京地下鉄道」、新橋~渋谷間が「東京高速鉄道」という別の私鉄によって建設され、後にひとつの路線に統合された歴史があります。このうち東京高速鉄道は、東急グループの創業者である五島慶太が専務を務める、東急(当時は東京横浜電鉄)の関係会社でした。
東急の狙いは渋谷と都心の直通にありました。当時、東横線沿線から都心に通うには、渋谷駅で山手線か路面電車に乗り換える必要があり、ぐるりと遠回りをする山手線か、速度が遅い路面電車か、どちらも都心に到着するまで時間がかかるのが悩みでした。そこで都心に直通する地下鉄を建設することで、所要時間を大幅に短縮し、渋谷の利便性を劇的に改善しようと考えたのです。
問題となったのはホームの設置場所でした。1934(昭和9年)にターミナルデパート「東横百貨店」(後の東急百貨店東横店の東館)を開業していた東京横浜電鉄は、地下鉄ホームと駅ビルと一体化させて、渋谷をさらに発展させたいと考えていました。しかし東横百貨店の敷地には、山手線と交差する地下鉄ホームを設置するスペースがありません。そこで、渋谷駅西口に計画されていた駅ビルのなかにホームを設置することにしました。
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