人身事故などで列車止めると賠償金 本当に?どのくらい請求される? 計算上は億単位も

賠償をめぐり裁判になった事例も

 2007(平成19)年に愛知県で、認知症の男性が電車にはねられ死亡したという事故がありました。その後、損害賠償をめぐりJR東海と遺族が協議を行いましたが合意に至らず、JR東海が遺族に720万円の支払いを求めて提訴したということが話題となりました。この場合、焦点は「家族に監督義務はあるか」ということだったため、遺族の相続放棄には該当しないケースです。ちなみに、最高裁の判決はJR東海側の訴えは棄却されており、結果的に遺族は支払いを免れています。

 とはいえ一方で、鉄道事業者というのは公共交通機関であり、沿線住民からの信頼によって成り立っているところがあります。大手の鉄道会社が個人に対して億単位の損害賠償請求を行うことは非現実的で、全額支払われる見込みは立たないでしょうし、たとえ裁判により損害賠償命令の判決が出たとしても、その後の悪印象が目立ってしまうことを毛嫌いする場合も少なくありません。

 自殺以外にも、線路上に布団などの障害物が入ってしまい列車運行を中断させてしまうことなどがありますが、このような事例でも損害賠償を請求することは少ない傾向です。とはいえ、故意や悪質なケースで、相手に支払い能力があると判断されれば、賠償請求も大いにあり得ますし、場合によっては往来妨害罪などに問われることもあります。

【了】

※一部修正しました(6月19日14時28分)。

【写真】駅ホームのベンチ 向きが変わると…?

Writer: 西上いつき(鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表)

大阪府出身。大学卒業後、名古屋鉄道にて運転士・指令員として鉄道運行に携わる。退職後、シンガポールの外資系企業にて国際ビジネスに従事。帰国後は東京を拠点として活動し2019年にIY Railroad Consulting設立、コンサルティング・セミナー・海外向け鉄道関連事業等を行う。東京交通短期大学・特別講師。著書に『電車を運転する技術』。

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コメント

4件のコメント

  1. 人身事故の話題になると必ず賠償をって話になるけど、法的にはとにかく倫理的には、それを支払わなければならないのは本人やその遺族じゃなくて、自殺に追い込んだ原因の人(学校ならいじめっ子や担任、会社なら同僚や上司など)だよなぁ、と。
    むしろ、そういう人達にキッチリ請求して、「むやみに人を苦しめると後で自分に返ってくる」となれば、苦しむ人が減るはず。
    誰が該当するか、の判断は…遺書があれば容易だけど無い場合は難しい。あくまで一意見です。

  2. 鉄道への飛び込み自殺の多くは覚悟の自殺ではなく衝動的なものである。「一歩踏み出せば、苦しみからのがれられる」と衝動的に行動してしまう。そのような自殺はホームドアさえあれば確実に防げる。技術的にもそれほど難しい話ではない。自殺の原因の一端は鉄道事業者の安全対策の不備でもあるのだ。
    あれほど頻繁に人身事故が生じているにもかかわらず、鉄道事業者はホームドアの設置を怠ってきた。新型車両を開発・調達したり、駅ナカの商業施設に投資したりする資金はあるにも関わらずである。凄惨な事故が生じ、毎年たくさんの死者を出しているにもかかわらず、再発防止策を講じずに許されている業界はここぐらいであろう。
    安全対策を怠っておきながら、遺族に高額の賠償請求を平然として恥じない鉄道事業者には怒りを禁じえない。遺族は「安全対策の不備が自殺を誘発した」として反訴すべきではないだろうか。自殺者が悪い、鉄道会社は純然たる被害者、というスタンスでは、安全対策は遅々として進まないだろう。

  3. ぺんちゃんと同じ意見です。
    電車に飛び込みなんて怖くて出来ないのにそれ以上に学校や会社に行く事の方が恐怖だと思います。
    やった加害者に請求するべきだ。
    大切な家族に他界され賠償金で苦しめられる被害者は地獄だと思います。
    どうか飛び込まないで下さい。
    学校が嫌なら通信で高校認定や大学認定が受けられます。
    会社や嫌なら辞めたらいいんです。
    生きていたらなんとでもなるんです。

  4. 自殺するのは衝動的で、追い込む側に責任あるのも分かるが、下手すると体が飛んだり物絡めば脱線で他を巻き込んだり大惨事となり、迷惑このうえない。迷惑がかからず、一層のこと誰にも発見されない方法を選らんでもらいたい。処理する側の身にもなってもらいたい。追い込まれる前に離脱しましょう!逃げる勇気を振り絞ってもらいたい。