「戦闘機 合体させよう!」なぜアメリカはそう考えたのか? F-82「ツインマスタング」

世のなかに双胴機は数多くありますが、同じ機体をふたつ横に連結させた双子機は少なく、100機以上生産され、実績も残したものというと、アメリカ製のF-82「ツインマスタング」ぐらいしかありません。いったい、F-82はどんな機体だったのでしょう。

簡単に作れるかと思いきや、ほぼゼロからの設計

 アメリカ陸軍においてこうした要望が挙がる一方、偶然にもノースアメリカン社では1943(昭和18)年の時点でP-51「マスタング」を2機合体させた双発複座機のプランを検討していました。両者の思惑がうまく合致したことで、こうしてF-82の開発は始まりました。

 とはいえ、ベースが優秀機だからといっても単純に2機つなげただけとはいかず、胴体後部や垂直尾翼などは大幅に改修され、エンジンも左右で回転方向を逆にしており、設計はほとんどやり直しに近かったそうです。ただし、そこまで大幅に手を加えたからこそ飛行機として成功したともいえます。

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F-82「ツインマスタング」の原型となったP-51「マスタング」戦闘機(画像:アメリカ空軍)。

 試行錯誤の末、F-82「ツインマスタング」の試作初号機は、第2次世界大戦末期の1945(昭和20)年6月15日に初飛行しました。ところが、この時点ですでにドイツは敗北しており、この2か月後には日本も降伏したため、F-82は必要がなくなり、予定していた生産のほとんどがキャンセルになりました。しかしB-29の後継として、より長距離を飛ぶことが可能なB-36戦略爆撃機の試作機が1946(昭和21)年8月8日に初飛行すると、これを護衛するための戦闘機としてF-82「ツインマスタング」の生産も再開されます。

 またF-82はエンジンが2基あり、P-51と比べて搭載量が多く、なおかつパイロットも2名いることでレーダーを搭載するのにも最適として、主翼中央にレーダードームを装備した夜間戦闘機型も開発、量産されました。

 当時のレーダーは大型で、しかも操作のほとんどが手動で手のかかるものでした。そのためパイロットがひとりしかいない単座戦闘機に装備すると、その負担は大きく、「腕が3本必要」と揶揄されるほどでした。

 第2次世界大戦中、すでにアメリカは3人乗りでレーダー搭載のP-61「ブラックウィドウ」夜間戦闘機を実用化していましたが、大型のため鈍重で、大戦後は旧式化しており、高性能な次世代機が必要とされていました。

 そこでP-51「マスタング」譲りの優れた戦闘能力と、レーダードームを装備可能な余裕ある搭載力、そして複座機として片方のパイロットにレーダー操作員を兼務させることが可能なF-82は、夜間戦闘機にも転用されることになったのです。

【写真】まさにニコイチ。原型P-51「マスタング」と並んで飛ぶF-82「ツインマスタング」

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