オレカ・イオカ・パスネット… ICカード登場前 いろいろあった鉄道プリカの世界
「積み増し」など利便性向上 そしてICカードへ
これらのプリペイドカードは、地域内共通化と同時にさらなる利便性の向上を目指して改良がなされました。イオカードやパスネットなどは乗車時に、初乗り運賃相当の金額が引かれます。しかし、たとえば初乗り運賃に満たない額のカードを持っていた場合は、新しいカードと合わせて2枚を自動改札機に挿入可能とし、残額が少ないカードでも自動改札機を利用できるようになりました。
また、中京地区の私鉄・地下鉄の共通カード「トランパス」では、使用中のカードが一定の残額を下回ると、新しいカード購入時に残額が移行する「積み増しシステム」を採用しました。このように、完全な相互利用こそ実現しなかったものの、自動改札機・自動券売機と組み合わせた改良が進みました。
そのようななか2001(平成13)年4月、JR東日本は非接触型のICカード「Suica」をJR埼京線・川越線に試験導入。同年11月から首都圏各線での運用を始めました。
各JRや私鉄も、JR東日本に追随してICカード化を進め、全国でカードの相互利用が図られました。いまやICカードはクレジットカードや携帯電話との一体化、ショッピング利用、社員証との共用など、鉄道利用だけでなく日常の買い物や生活にも深く関わるようになっています。これは、圧倒的な記憶容量を持つICカードと、ITの進化でさまざまなデータがサーバを通して連携・活用できるようになったためです。
とはいえその進化は、プリペイドカード時代の度重なる改良が土台になっていると言えそうです。
【了】
Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
パスネット→PASMO
スルっとKANSAI→PiTaPa
トランパス→Manaca
ICカードは一部を除いて相互利用が可能になった。