オレカ・イオカ・パスネット… ICカード登場前 いろいろあった鉄道プリカの世界
JR東日本のSuica登場以来、ICカードは大都市圏を中心に、鉄道利用や買い物などになくてはならない存在となりましたが、ICカード登場以前はプリペイド式の磁気カードが活用されていました。鉄道会社や地域ごとに、その変遷を振り返ります。
始まりは国鉄が導入した「オレンジカード」
買い物などでも広く活用されている交通系ICカード。その前身はプリペイド式の磁気カードですが、鉄道会社や地域によってさまざまな種類がありました。
鉄道のプリペイドカードは、1985(昭和60)年に国鉄が「オレンジカード」を発売したのが始まりです。額面は500円、1000円、3000円、5000円、1万円の5種類があり、5000円には300円分、1万円には700円分のプレミアムがついていました。
オレンジカードは専用の券売機に挿入してきっぷを購入するシステムで、「コインいらずの便利なカード」という宣伝とともに発売されました。当時、自動改札機は一部の私鉄や地下鉄のみで採用されているに過ぎず、自動改札機に直接カードを挿入して利用するという考え方は生まれていませんでした。
オレンジカードは日常使用のほか、贈答用、旅行記念用としても普及し、車掌がオリジナルデザインのカードを車内で販売する姿もよく見られました。
自動改札機が普及すると、名古屋市交通局では1989(平成元)年、回数券カードを改札機に直接投入できるようになります。その後、磁気カードに運賃を貯め、きっぷ代わりに使える「ストアードフェアシステム」が開発されます。1991(平成3)年、JR東日本がこのシステムを使った「イオカード」を発売。首都圏近郊のイオカード対応駅間であれば、きっぷを買わずに鉄道利用ができるようになりました。
パスネット→PASMO
スルっとKANSAI→PiTaPa
トランパス→Manaca
ICカードは一部を除いて相互利用が可能になった。