ひどい欠陥機だったソ連のSu-27戦闘機「フランカー」 命がけの再設計

ソ連時代の戦闘機開発は、国営の設計局が担う国家プロジェクトですが、なにかと死が身近な同国でそのちゃぶ台をひっくり返すのは、並大抵の覚悟ではできないでしょう。しかしその命がけの再設計で、のちの大傑作機が生み出されました。

そして実用化 Su-27が世界の戦闘機市場を席捲へ

 1988(昭和63)年には、T-10Sの15号機を元に世界記録へ挑戦、27の世界記録を樹立しました。特に上昇力記録はレコードホルダーだったF-15の、3000mから1万5000mまで(3000m刻み)すべてを塗り替えることに成功、実際にF-15を上回る性能を証明しました。

 T-10Sもまた、初飛行直後に墜落事故が発生するなど開発は難航しますが、ようやくSu-27という制式名称が与えられ、1986(昭和61)年からソ連空軍、ソ連防空軍の戦闘機として実働体制に入ります。そしてSu-27は冷戦終結後、世界の戦闘機市場で大成功を収めました。

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近代化改修型Su-27SM3。Su-27SM3は再設計型T-10Sの直系子孫であり2020年現在のロシア空軍主力戦闘機である(関 賢太郎撮影)。

 2020年現在、第一線で運用される戦闘機のなかには、開発中から欠陥機だとされた事例のあるものが少なからず存在します。しかし複雑な工業製品である戦闘機の開発において、問題が無いということはありえません。言論の自由がある国の機種では、修正可能な問題でさえ欠陥だと、センセーショナルに報じられることがあります。

 Su-27は、実際に欠陥機であったほぼ唯一の例です。Su-27には同じソ連のミグ設計局によるMiG-29という、同時期に開発されたライバルがありました。MiG-29もまた、とても優秀な傑作戦闘機ですから、もしシモノフの決断がなかったならば、もしソ連当局が計画を中止できずT-10を小手先だけの改善だけで実用化を強行していたならば、Su-27はみにくいアヒルの子のまま「鶴」となること無く、MiG-29に及ばなかった失敗戦闘機として終わっていたかもしれません。

【了】

【写真】同じ原型機から限りなく爆撃機寄りの戦闘機 横並び複座のSu-34

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

6件のコメント

  1. > 言論の自由がある国の機種では、修正可能な問題でさえ欠陥だと、センセーショナルに報じられることがあります。

    東洋の某島国の国産戦闘機の炭素繊維製主翼の事とかかな? その後も発展性がないとか難癖つけられて生産中止になったよね。ベースにした機種の発展ぶりとか見ると、もったいない事したと思うけどね。

    • 心神?

      あれは採算性がががががが

    • 心神でなくてバイパーゼロの事言ってるつもり。「ベースにした機種」は記事内にも出てる単発ベストセラー機ね。ドーサルスパインとコンフォーマルタンク付きの洋上迷彩、見たかったなー。

  2. 双発ジェット戦闘機の生産機数の世界記録はマクダネル(・ダグラス) F-4 ファントムⅡ の約5000機だと思いますが。

    • 今更の返信ですが、本文中「世界最多」と書いているのは「運用中の機数」なので間違ってないと思いますよ。F-4は退役してもうほとんど運用状態にありませんから。

  3. 機械ってのは作った後で使いながら不具合を洗い出して改善しながら育てていくもの

    我々の身の回りにある量産品は、そのプロセスを事前にメーカで十分にテストしてるからユーザーにはわかりにくいだけ

    特に戦闘機みたいな少量生産で特殊用途のものは、運用しながら改善を重ねていくのは最初から織り込み済み

    そこんところを理解せずに、ちょっとした不具合でも あたかも修正不可能かのように欠陥欠陥と騒ぎ立てる奴が多すぎる

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