感染症対策のエキスパート 陸自の対特殊武器衛生隊のみ装備の「B-ユニット」とは?
生物剤対処能力は感染症対策にも有効
対特殊武器衛生隊は現在、B-ユニットを2セット運用しています。この部隊は、陸上自衛隊の最上級司令部である陸上総隊の直轄部隊として、方面隊や師団など特定の地域部隊に属さずに、全国展開を想定した運用が行われています。
2009(平成21)年4月、新型インフルエンザが世界的に流行した際には、羽田空港や成田空港の検疫支援に医官を派遣したほか、2011(平成23)年3月の福島第1原発事故では、自衛隊員の被ばく量管理などで現地に派遣されています。
また発足以来、日本国内で開催されたサミットを始めとする各種国際会議では、万一テロが起きても迅速に対応にあたれるよう、会場近くで待機についていました。
B-ユニットは可搬式のため、空き地やグラウンドなど、ある程度の広さがある場所であれば設置展開が可能です。ヘリコプターや輸送機で各地の空港や飛行場に運ばれ、駐車場などに展開することもできますが、対特殊武器衛生隊が実働任務につくときは、パンデミックやテロが起きたときのため、活動せずに終わるのがいちばんなのは、いうまでもありません。
【了】
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
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