特急の運転士はベテランなのか? 普通列車と特急 運転が難しいのはどっち?

特急列車は運転が上手な運転士が乗務するのか

 運転士をはじめとする乗務員の勤務体系は、業務が時刻ごとに決められた「乗務行路表」や「仕業表」に則っています。つまり、運転士が1日どの列車のどの種別を担当するかは予め振り分けられており、特急列車を運転することもあれば、普通列車を運転することもあります。

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博多駅で行われた、特急「ゆふいんの森」30周年出発式(2019年3月、恵 知仁撮影)。

 ただし事業者によっては、有料特急の乗務は、ある程度のキャリアや運転技術がなければ担当することができないなど、内規としての固有ルールが設けられている場合があります。ほかにも、新型車両のデビュー運転や引退列車、お召し列車のような特別なときは、ベテランや技術力の高い運転士が選ばれるのが通例です。

 やや話がそれますが、「経済運転」という考え方があります。たとえば次の停車駅が近ければ、運転士は発車後ほどなくしてブレーキをかけなければなりません。すぐ減速するのに最高速度まで加速すれば、乗り心地が悪いだけでなく、電車は無駄な電力を使います。これを減らそうとするのが経済運転です。自動車を運転中、先の信号が赤なのに無理にアクセルを踏まないことを想像するとわかりやすいでしょう。経済運転は多くの鉄道事業者に根付いていますが、経験を積んで、身につく動作でもあります。

【了】

【写真】運転士の乗務スケジュール

Writer: 西上いつき(鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表)

大阪府出身。大学卒業後、名古屋鉄道にて運転士・指令員として鉄道運行に携わる。退職後、シンガポールの外資系企業にて国際ビジネスに従事。帰国後は東京を拠点として活動し2019年にIY Railroad Consulting設立、コンサルティング・セミナー・海外向け鉄道関連事業等を行う。東京交通短期大学・特別講師。著書に『電車を運転する技術』。

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コメント

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10件のコメント

  1. 時間があったらいくらだって「経済運転」ができるんじゃないんですか?

    • 電車の速度が遅すぎるとそれはそれで消費電力が増えて経済性は悪化するし、駅間の時間が伸びて客が減っても経済性が悪化する。

    • 所要時間≒乗務員の拘束時間でもあるから所要時間が増やしつつ、本数維持をしようとすると車両も人員も必要になるから人件費や車両関連のコストはむしろ悪化する。
      逆にそれらのコスト増加を避けるために本数を減らすと利便性が下がるのでこんどは利用者が離れる可能性がある。

  2. よくこれで独り立ちしたな?てな酷いのもいるしな。
    ベテランだろうが五感の麻痺してる運転士は濾しきれないからな。

    • 偉そうに抜かしてんじゃねえよ。そんなに文句言うならお前やってみろや

  3. 昔、大卒総合職が鉄道会社に入っても駅員→車掌→運転士→丘(事務職)という行程だったらしいですけど、運転士行程は特急が主、という話を。
    今では現場関係そこそこに(運転士も特になく)関連会社を行ったり来たりしながらキャリアアップだそうで。

  4. 特急の方が運転は簡単である。
    運転で一番気を遣うのは列車を止めるとき。
    停車駅が特急の方が少ないのだから一目瞭然である。
    また列車遅延で回復運転をする場合も特急は次の駅までが長いのである程度取り返せる。

  5. 特急と言っても新幹線はまた違う、力行をほんの少し怠るだけでタイムに響く…というのは過去の話で、社によって定速制御〜クルーズコントロール〜を導入するか否か逡巡した節はあるが、駅停車間際にマニュアルのブレーキに移り停止位置を合わせる以外はほぼ自動運転に近くなっている路線もあるらしい。

    • N700A/N700Sでは定速制御と駅停車時の自動一段制動ブレーキを導入したようですね、

  6. 山手線が難しいと聞いたことがあるが…どうなんだろう?