「高速道路またぐ橋 自治体の広告媒体に」動き広がる なぜ民間広告でなく自治体なのか

東名高速をまたぐ陸橋に、自治体をPRする横断幕を掲げる例が近年増えています。交通量の多い道路に架かる橋は広告媒体として有効かもしれませんが、なぜ自治体のPRばかりなのでしょうか。

「70代を高齢者と言わない街 大和市」東名高速上に現れる横断幕

 2020年2月現在、東名高速下り線の横浜町田ICを過ぎてしばらくすると、本線をまたぐ陸橋に「70代を高齢者と言わない街 大和市」なる標語の書かれた横断幕が掲げられています。さらに進むと、「神奈川県のほぼ真ん中 綾瀬市」という横断幕も。それぞれ神奈川県大和市、綾瀬市をPRするものですが、このような横断幕が、伊勢原市や秦野市内でも次々に登場します。

 大和市の「70代を高齢者と言わない市 大和市」には、「じゃあなんて呼ぶんだ?」といった声がインターネット上で見られ、しばしば話題になっています。これら横断幕は、2010年代の中盤から大和市と綾瀬市が同時期に掲げはじめ、これまで文言も変更しているそうです。さらに伊勢原市や秦野市が追随したほか、東名の沿線では静岡市も、特産の桜エビをPRする横断幕を掲げたことがあります。

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「70代を高齢者と言わない街 大和市」の横断幕(2019年12月、乗りものニュース編集部撮影)。

 一般的に観光地では「ようこそ〇〇へ」といった横断幕や標識は見かけることがありますが、大和市や綾瀬市の横断幕は、そうしたものと性質をやや異にしています。

 綾瀬市秘書広報課は横断幕を掲げ始めた理由について、「シティセールスのうえで何か新しいことをしようと考えた案のひとつ」としたうえで、「市そのものの知名度が低いことが課題であったため、『ようこそ』ではなく『神奈川の真ん中にある』ということから知っていただこう、という意図で文言を選んでいきました」と話します。

 これら横断幕が掲げられているのは、各市が管理する市道の陸橋です。綾瀬市によると、高速道路を管理するNEXCO中日本とは調整するものの、基本的に市が管理する道路(陸橋)のため、掲載費はゼロとのこと。ほかの自治体から、「『うちも考えているんですけど、どことどういう調整をしたんですか?』といったお問い合わせをいただくこともありますね」と話します。

【写真】企業広告が入った橋

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