戦車誕生の背景「塹壕戦」どんな戦いか 日露激戦 WW1西部戦線 そして戦車登場の衝撃

戦車が実戦投入されて100年あまり。その誕生の背景には、銃火器の発達などで大規模になった塹壕戦があります。防御側が有利すぎたこの「塹壕戦」とはどのようなものなのか、日露戦争「203高地の戦い」などを見ていきます。

塹壕陣地攻略の困難 日露戦争「203高地の戦い」とWW1西部戦線

 日露戦争における「203高地の戦い」は、中国北東部、遼東半島南端にある丘陵地で起こりました。ロシアの太平洋艦隊殲滅のため、艦隊の寄港地となっていた旅順港を落としたい日本海軍、その要請を受けて、旅順港が見渡せる203高地を絶対に手に入れたい日本陸軍と、死守したいロシア軍との戦いです。ロシア軍はこの丘陵に長大な塹壕をつくり、攻め上ってくる日本陸軍を迎え撃ちました。

 海軍からの要請もあり、どうしても203高地を手に入れたかった日本陸軍は、何度撃退されても増援を送り込み、攻め続けました。攻防戦は1週間も続き、双方に大きな被害を出した末に、日本軍が203高地を奪取しました。一説によると4か月におよんだ旅順攻囲戦全体で日本軍側戦死者は約1万5千人ですが、そのうち約5000人がこの1週間で戦死したといいます。

 そのような被害を出しながらもなんとか奪い取った203高地ですが、そのころすでに海軍の方も大局が決定していました。この日本陸軍を苦しめ、その攻略に時間と多くの人命をかけさせたものこそ「塹壕」でした。この塹壕をいかに攻略するか、これが、以降の地上戦の主題になっていきます。

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第1次世界大戦の西部戦線、フランス北部エナン=シュル=コジュル付近にて。塹壕から遠くの爆発を眺めるイギリス兵(画像:帝国戦争博物館/IWM)。

 そしてその日露戦争から約10年後に始まったのが第1次世界大戦です。

 塹壕戦はその、ドイツと連合国とが激突した西部戦線で極まります。投げ込まれる手榴弾への対策のために塹壕をジグザグにしたり、木やコンクリートで補強したりと工夫を凝らしました。そして両陣営にらみ合ったまま、背後に回り込まれないように塹壕の両腕を伸ばし続け、気付けばイギリス海峡からスイスにまで両軍の塹壕が伸びているという事態に陥ります。

 また同時に、塹壕戦を攻略するための新兵器も多数開発されました。ここで生み出されたのがのちに「陸戦の王者」と呼ばれることになる戦車です。

 最初にその着想を得たのはイギリスでした。塹壕のなかから射撃されても跳ね返すことのできる装甲。小さな塹壕くらいなら乗り越えられる不整地機動力。敵の機関銃陣地を潰せるような攻撃力。これらを備えた「陸上を走る戦艦」を造ろうと考えたのです。

【写真】掘り巡らされた塹壕の様子が見える203高地

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コメント

2件のコメント

  1. >海軍からの要請もあり、どうしても203高地を手に入れたかった日本陸軍は

    これは、ちょっと違います。

    当初の主攻軸は「旅順要塞東北方面」でした。203高地は「旅順要塞西方面の前進陣地」です。

    203高地への主攻軸変更は、第三回総攻撃(明治37年11月26日-12月6日)の途中からです。

    ※Wikipediaの記事を参照しました

  2. 旅順攻囲戦が終わったときにはまだ日本海海戦は起こっていないので、海軍の大局は決まっていませんよ

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