「キャタピラをはいた爆撃機」があった テスト結果は良好も実用化されなかったワケ

泥濘や砂漠、雪原などの悪路を走るのに適したいわゆるキャタピラを、アメリカでは飛行機にも用いようとしました。これを使えば大重量の大型爆撃機も安全に離着陸できると考えたようですが、そう簡単にはいかなかったようです。

試行錯誤の結果、やっぱり飛行機は車輪がベスト

 ボーイングがB-50爆撃機を使った履帯式降着装置の開発や試験を行っている最中、アメリカ軍はさらに欲張ります。より大型のB-36爆撃機で履帯式降着装置をテストすることを決めたのです。1948(昭和23)年4月に決まると、テスト機の改造は1950(昭和25)年2月に完了し、実証試験が始まりました。

Large 20200315 01
履帯式降着装置を取り付けたB-50爆撃機の前脚。A-20攻撃機のものよりも複雑化している(画像:アメリカ空軍)。

 B-50の降着装置よりも巨大化したため、B-36のものは引き込み式にできなくなりましたが、とりあえず1950(昭和25)年3月26日に初飛行します。しかし、これが最初で最後、唯一の飛行となりました。

 この唯一の飛行ののち、履帯式B-36の試験は取り止めになり、最終的にキャタピラを履いた飛行機の開発自体が中止になりました。明確な理由は不明ですが、一説には大型爆撃機の航続距離が延び、もはや前線で使うことがなくなったこと、また耐久性や整備性、コストなどの問題から、結局タイヤがベストという結論に至ったのが理由のようです。

 ただし在アラスカ・アメリカ軍は、雪上で運用する飛行機に履帯式降着装置は有用と考え、北極圏における救助活動のためにC-47輸送機の脚を履帯式に変更したいと、のちに要望を出しています。

【了】

【写真】いわゆるキャタピラを履いた脚でエプロンを進むB-36

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. エアバッグでホバークラフトみたいにしても良かったんじゃないかな

  2. 凄い

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  3. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号