飛行機トイレ 出たブツは200km/h以上で機内疾走していた 超高速排せつ物処理の仕組み

「落とし物」高速移動には理由あり そのメカニズム、メリットは

 バキューム式化粧室での「落とし物」の高速運搬を生み出す吸引力の源は、気圧の差です。映画やドキュメンタリー、そして整備不足などが原因で過去に生じた航空事故の再現VTRなどで、飛行機の外壁に穴が空いたとき、一気に人や荷物などが外へ吸い出されてしまうシーンがあります。これは空気が、気圧が高い客室から、気圧の低い上空外気へ流れているためです。

 これと同じように、上空で化粧室の洗浄ボタンを押すと、タンク内に備わる専用装置の一部の弁が開き、飛行機は小さな穴が開いたような状態になり、配管内の気圧が下がります。高い気圧の客室内にあるトイレの「落とし物」は、この気圧差で一気に吸い出され、タンクに収まり、空気のみ機外に放たれます。また地上など気圧差が十分でない場所では、バキュームブロワーという装置を使って、タンク内を低い気圧にして対応するそうです。

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ボーイング787型機の化粧室。この飛行機ではTOTO「ウォシュレット」がついていて、便座横にスイッチがある(2019年、乗りものニュース編集部撮影)。

 なおこのバキューム式のトイレは、吸い込む際に大きな音が出てしまうのがデメリットですが、ほかの方式の旅客機用トイレと比べて、そして乗客にとってのメリットも多いのです。

 従来型の旅客機のトイレは多量の洗浄水を積み、「落とし物」を流したあと、浄化し再利用する循環式でしたが、これだと飛行機の重量が増えてしまいます。バキューム式であれば、吸ってしまうぶん、使う水は少量で済むので、より重量を減らすことができ効率的なフライトにつながります。

 このほか、化粧室自体の快適性も、バキューム式に軍配があがります。これは、洗浄ボタンを押して「落とし物」を吸引する際、その強い吸引力で臭気まで吸い取ってくれるためで、使用後のニオイ残りも軽減されるとのことです。

【了】

【図】「ハイテクジャンボ」のバキューム式トイレの作り

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1件のコメント

  1. ”内容物のタンクに収められる様子が報道陣に公開されています”CAが排出を担当しました