全国「高速バスvs鉄道 競合区間」5選 鉄道が白旗だったり いい勝負だったり

県都どうしの区間でも高速バスが優位に

 高速バスが鉄道より優位に立つ区間は、地方にも見られます。

仙台市~山形市

 仙台市と山形市のあいだはJR仙山線で結ばれているほか、宮城交通と山交バスにより高速バスが頻繁に運行されています。仙山線の仙台~山形間直通列車は平日18往復、対して高速バス仙台~山形線は80往復あり、さらに途中で山形市を経由する仙台~上山線も運行されています。運賃は、鉄道が片道1170円(現金利用の場合)、高速バスが950円、所要時間は快速列車でおよそ1時間20分、高速バスもほぼ同等です。

 仙台~山形間のバスは昭和の時代からありましたが、1990(平成2)年前後に山形道が開通し高速道路経由へ移行、その後も増便を重ねます。2000年代の一時期には、新興のバス事業者が競合路線を開設したことで値下げ競争が起こり、一時は片道750円まで下がりました。その後は宮城交通と山交バスの2社体制に戻り、運賃を改定しつつ、さらに増便を重ねて現在に至っています。

 国土交通省の統計によると、東北地方の各地と仙台を結ぶ高速バスの2015年度における総輸送人員は約420万人、このうちの約半分を、仙台~山形間が占めるそうです。

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仙台駅前の山形行き高速バス乗り場。駅のバスロータリーではなく青葉通の路上にある (2019年4月、中島洋平撮影)。

広島市~松江市

 中国地方では広島や岡山と山陰の各都市を結ぶ高速バスが運行されており、そのなかで最も本数が多いのは、広島電鉄と一畑バスが運行する広島~松江線です。両都市間を1日18往復、およそ3時間で結びます。

 山陽地方と山陰地方を結ぶ列車としては、JR伯備線の「やくも」、JR山口線の「スーパーおき」などがありますが、広島県と島根県のあいだに直通列車はありません。1990(平成2)年までは、広島~松江間で芸備線、木次線経由の急行「ちどり」が運行されていましたが、いまは岡山県や山口県まで迂回して特急を利用するか、本数も少ない中国山地のローカル列車を乗り継いでいくことになります。

 このため両県のあいだは高速バスが発達しており、松江だけでなく島根県内の出雲、大田、浜田、益田といった都市と広島を結ぶ路線も、本数が比較的多く 運行されています。

【写真】高速バスの対鉄道シェアが日本一? の区間

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コメント

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3件のコメント

  1. 個人的には中国ハイウェイバスを取り上げてほしかったな。と。
    なんといっても元祖国鉄(鉄道局)が国鉄(自動車局)と競合して国鉄自動車局が勝ってしまったゆえに
    その後の国鉄ハイウェイバスを方向転換する羽目になった路線ですし。

  2. >片道運賃は通常期の指定席利用で3460円
    自由席料金だと2,160円ですよね。なお土日祝だと「新幹線よかよかきっぷ」が使えて(使えるのは自由席)使用開始日当日しか使えないけど更に往復3,150円になりますね(ちなみに高速バスの往復きっぷだと2,200円、スマホ回数券(4枚。3ヶ月間有効)だと1回990円で使えますね)。

  3. 小倉~天神間は、100万都市同士、かつ同じ県内同士でありながら、在来線の便数も目減りし、日本一の便数を誇る高速バスでも輸送人員が30~40人なわけで、行き来が少ないことがよくわかる。コロナ禍でますます行き来が減り更なる減便となってしまったが、一方で地元で買い物も仕事も済ませるという習慣になりつつあるということも考えられる。そうなると都市間輸送の公共交通機関の需要は更に低くなることになるが、これ以上の輸送需要の低下が止まることを期待したい。