F-14「トムキャット」の礎のひとつ 初の実用可変翼戦闘機「ジャガー」を知っているか

可変翼機といえば、映画にも描かれたF-14「トムキャット」戦闘機が広く知られますが、アメリカ海軍が開発した可変翼機としては、実は唯一の成功例です。陰にはもちろん試行錯誤があり、XF10F「ジャガー」もそのひとつでしょう。

搭載エンジンの出力不足にも泣かされる

 完成したXF10F「ジャガー」は1952(昭和27)年5月19日に初飛行しました。しかし初飛行から故障が多発し、安定性もよくありませんでした。また、可変翼を導入したことによる構造の複雑さによって整備性が悪く、さらに重量過多による低性能が問題視されました。

Large 20200426 01
テスト飛行中のXF10F「ジャガー」戦闘機。初飛行からトラブル続きで、総飛行時間は67分間にすぎなかった(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 加えて、搭載するウエスチングハウス(当時)の新型ジェットエンジンJ40が、計画通りの出力を発揮しなかったことも追い打ちをかけました。

 結局、アメリカ海軍は小手先の改修では大幅な性能向上は見込めないと判断し、1953(昭和28)年4月に開発の中止を決定、その後の追加発注も含めて計112機の導入をすべてキャンセルしました。

 ちなみに、XF10F「ジャガー」の次にグラマンが開発した艦上戦闘機 F11F「タイガー」は、可変構造のない固定式の後退翼戦闘機として開発され、アメリカ海軍に採用されています。

 XF10F「ジャガー」は、想定以上によくできたF9F「クーガー」を見て過度な期待を抱いたアメリカ海軍の要求に押しつぶされた、といえなくもありません。しかし、同機で挑戦した可変後退翼のノウハウが、のちのF-14「トムキャット」戦闘機で開花したのですから、決して無駄にはならなかったといえるでしょう。

【了】

【写真】世界初の可変後退翼実験機 X-5

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. 「ジャギュワア」では?

  2. ジャギュアは英国英語での発音です。

    英国とフランスが共同開発した訓練機兼軽戦闘機のSEPECAT ジャギュアがあります。

    米国英語ではジャグヮーが実際の発音に近いようです。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス