高速バス 新型コロナで需要減退 いまできることは何か 業界・乗務員のいまと今後

新型コロナウイルスの影響で、高速バスは運休や減便が相次ぎ、乗客数も大幅に落ち込んでいます。この影響は、早くも2020年1月から始まりました。バス業界はいまどのような状況に置かれ、また、この難局をどう乗りきるのでしょうか。

高速バス乗務員の雇用維持は絶対に必要 今後予想される大きな問題とは?

 私鉄系など老舗の高速バス事業者は、営業所(車庫)の土地を自社で所有する例が多いものの、新規参入事業者には借地で営業するところも多く、毎月、賃料が発生します。車両のリース代については国の政策で支払いが猶予される見込みですが、今後は営業所の維持費用などが課題になります。

 また、高速バスの乗務員は相当のスキルが求められるため、「厳しいときはクビを切り、需要が戻ったら新たに採用しよう」というわけにはいきません。雇用の維持は絶対に必要です。問題が長期化するようであれば、従来とは異なる雇用維持策が必要となりそうです。たとえば、労使で合意のうえ、バス事業者の正社員という立場のまま、期日を明確にしたうえで、人手不足が顕在化しているほかの業種で働いてもらう、といった取り組みです。ただ、これには様々な調整が必要になるでしょう。

 あと少し時間がかかりそうですが、無事に事態が収束すれば、その時には需要喚起策が求められます。これまで「ふっこう割」というような名称で行われた災害後の観光需要復旧策では、宿泊料金に対する補助制度がありました。新型コロナウイルス収束後の対策においては、鉄道、航空や高速バスといった公共交通による長距離移動も対象とするのは、高速道路や観光地の渋滞を避ける意味でも重要です。それに備え、多くの事業者で集中的に研修を実施し、乗務員のスキルアップや担当できる路線数の増加に努めています。

 なお、高速バスではなく地域の路線バスでも、減少幅は高速バスより小さいものの、乗客数が減っています。しかし、地域公共交通としての役割から、簡単に減便や運休することもできません。今後は、地域公共交通維持のあり方が大きな問題となりそうです。

【了】

【画像】大幅減便で「黒塗りの時刻表」

【新型コロナウイルス対応特集】新幹線や飛行機の換気はどうなってる? 定期券払い戻しの注意点など

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. これって海外旅行者に頼りきってきた観光業者の持病が症状を重症にしてるよな

    言っては悪いが完全な出遅れだ。

    仮に終息しても二次災害として政府が高速無料とか?今論ずるべき?みたいな議論しちゃってるしね。

    とにかく車と東京しか頭にない連中の政はコロナ以前からの病巣なんですよ。

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  3. 海自潜水艦 アメリカ海軍の“歴戦の揚陸艦”を標的に魚雷発射! 実弾演習で巨大な水柱があがる瞬間を公開
  4. バス運転士「辞めないで」 東京都が“給与の手当”を10年間補助! 独自の定着支援で「路線廃止」を防ぐ
  5. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開