新型コロナ影響でJAL ANAがゼロに 航空券の買い時左右する「燃油サーチャージ」とは?
新型コロナの影響による原油価格の下落をうけ、JALとANAが燃油サーチャージを約3年半ぶりにゼロとしましたが、これはそもそもどういったものなのでしょうか。実際のところ、航空券の買い時を決めるうえで重要な要素のひとつになります。
約3年半ぶり JAL ANAが燃油サーチャージをゼロに
JAL(日本航空)、ANA(全日空)が、2020年6月1日(月)から7月31日(金)までの燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)について旅客便利用者に請求しないことを2020年4月、相次いで発表しました。これは約3年半ぶりのことになります。
「燃油サーチャージ」は、燃料価格によって、運賃に上乗せされる形で利用者が負担する費用です。その価格は航空会社ごとに設定するもので、日本の航空会社は、航空燃料である「ケロシン」の1バレル(約159リットル)あたりのシンガポール燃油市況価格平均を日本円に換算したものに基づき、2か月ごとに年6回、決定しています。そして先述の2社の場合、1バレルが平均6000円を割ると、利用者にその負担を求めていません。
2020年4月現在、JALとANA、2社の燃油サーチャージは、ともに6つの就航エリアごとに、それぞれ10段階で設定されています。長距離路線が多いことから最も高く設定されている北米線、ヨーロッパ線の場合、今回のように請求なしと、最高値の「ゾーンI(アイ)」とでは、片道運賃にして3万円以上の差があります。
ちなみに日本の航空会社においては、2008(平成10)年に燃油サーチャージがこの「ゾーンI」まで高騰したことがあります。
そのときの世界情勢や為替の動向で大きく左右される燃油価格の変動は、航空会社にとって非常にセンシティブなもので、アメリカのデルタ航空やノースウェスト航空は、燃料の高騰が原因で2008年に一度、倒産を余儀なくされています。
この燃油サーチャージという制度は海運業界で始まり、航空業界では2001(平成13)年から、日本の旅客便では2005(平成17)年から導入されています。それ以前の燃油価格の変動は、航空会社にとっていま以上に経営へ大きく響くものだったのです。
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