駅や列車内の忘れ物 その行方は? 持ち主が分かればウェブ検索可能に サービスの背景

忘れ物だけで1日500件を超える問い合わせも

 駅に届いた忘れ物は、翌日に飯田橋駅構内にある「お忘れ物総合取扱所」に送られて一時保管されます。拾得から5日目を過ぎると警視庁遺失物センターに送られて3か月間保管された後、遺失物法の規定に基づいて処分されます。

Large 200422 wasure 03
駅における忘れ物取扱い所のイメージ(画像:写真AC)。

 忘れ物をしてしまった場合は、駅事務室に申し出るか、お客様センターに電話をするか、公式サイトの忘れ物問い合わせフォームから問い合わせることができます。ただ、お客様センターに寄せられる忘れ物の問い合わせは年間約19万件(2018年度)、1日平均520件にも達するといいます。お客様センターにはほかにも多くの問い合わせが来ることから、電話がつながらなかったり、お客様センターの営業時間外は対応できなかったりと、対応に限界がありました。

 東京メトロは、落とし主が明らかな忘れ物については、利用者が公式サイトで24時間、自ら検索できるようにすることで、利便性を向上したとしていますが、同時に問い合わせ件数を削減し、業務を効率化しようというのが、今回の取り組みのもうひとつの狙いと考えられます。

 もっとも利用者からすれば、こうしたサービスを利用しなくて済むのが一番です。新型コロナウイルスの感染拡大にともなう外出自粛により、鉄道を利用する機会は減っていますが、久しぶりに鉄道を利用した際に忘れ物をしないよう、しっかり確認してから電車を降りるように心がけたいものです。

【了】

【写真】忘れ物を届けるなどするともらえるカード

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。