旅客機の窓はなぜ丸い? 過去には四角やおにぎり型も 塗装で丸窓を四角く見せたことも
「旅の車窓」という言い回しがありますが、飛行機の窓外に広がる景色も旅の楽しみのひとつでしょう。その窓の形、なぜ飛行機には角張った窓がないのでしょうか。そこには墜落事故にもつながりかねない重要な意味がありました。
塗装で角ばった窓に「偽装」…なんのため?
一方、丸みを帯びた窓がまだ少なく、角窓が多かった1950年代には、アメリカ空軍の要人輸送機などでは、あえて角の丸い窓の周りを四角く塗って、角窓を「再現」していた機体もありました。詳細は不明ですが、おそらく年配の将軍たちにとっては、従来の角窓の方が馴染み深かったからではないかともいわれています。
ちなみに、21世紀の現在において運航している旅客機の窓には、小さな穴が開いていることがあります。これは「ブリーザー・ホール」もしくは、「ブリーダー・ホール」と呼ばれるもので、重要な意味があります。
基本的に、旅客機の窓はアクリル製で、安全性の観点から外側、中間、内側の3層構造になっています。この外側と中間のものに開けられているのですが、理由はやはり気圧の関係です。
前述したように旅客機は高度によって機体の内側と外側で気圧が変わります。前述した3枚のアクリル板は密着せず、一定の間隔をあけて設けられているため、各板のあいだも気圧差が発生します。その調整をするために外側と中間のアクリル板にあえて穴を開けています。
知らないと見過ごしてしまうほどの小さな穴ですが、旅客機が高々度を飛ぶためのひとつの工夫といえるでしょう。
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Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
与圧する航空機の窓ガラスは三層が多いです。外側一層目が構造的強度を受け持ち、二層目は安全性の為のバックアップです。その間には湿気除けの為の通風口が開けられていて空気を流し、曇りや霜の発生を防いでいます。三層目は強度を受け持っていなく汚れ防止です。丸みを帯びているのは、機体の切り欠き部分とアクリル板の強度を維持する為です。高空での気圧差は凡そ8.8psidです。(psid/pound per square inch difference)気圧差を保持しているのは一層目だけです。従って、取り付けは内側から簡単なクリップで取り付けられることが多いですね。FAR参照