戦艦「ヒラヌマ」空母「リュウカク」重巡「チチブ」…何者? 米軍記録に残る旧海軍艦

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがあります。実態とは似ても似つかないものでも、実際に存在するかのように伝わってしまうことは多々あります。アメリカ海軍が作り上げてしまった幻の日本軍艦を3種類見てみます。

珊瑚海海戦でアメリカ軍が沈めたらしい空母「リュウカク」

 1942(昭和17)年5月7日、南太平洋のパプアニューギニア沖で起きた珊瑚海海戦において、アメリカ軍の攻撃によって沈んだ日本空母として一時記録されたのが「リュウカク」です。

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翔鶴型空母1番艦の「翔鶴」。「リュウカク」はこの艦型の3番艦と考えられていた(画像:アメリカ海軍)。

 確かに、珊瑚海海戦で日本空母「祥鳳(しょうほう)」が撃沈されており、この「祥鳳」が「リュウカク」として誤認されたようです。その発端は珊瑚海海戦直前の1942(昭和17)年4月、アメリカ軍が日本海軍の暗号文を解読するなかで、未知の日本空母がいることを発見したことでした。

 これが実は「祥鳳」だったのですが、太平洋戦争前の1941(昭和16)年8月と9月に、翔鶴型空母の「翔鶴(しょうかく)」と「瑞鶴(ずいかく)」が就役したため、アメリカは未知の新空母も翔鶴型の1艦であると判断します。そこから「リュウカク」と名付けたようです。

「祥鳳」は、確かに開戦直後の1942(昭和17)年1月に就役した日本の新空母でしたが、新造ではなく、既存の潜水母艦(潜水艦への補給などを行う艦艇)「剣崎(つるぎざき)」を改装した小型空母でした。

 しかも珊瑚海海戦で、日本海軍は翔鶴型空母2隻とともに「祥鳳」も用いました。アメリカ側は、これを翔鶴型空母3隻の一括運用に捉えたのでしょう。そのようななか、「リュウカク」すなわち「祥鳳」はアメリカ軍の攻撃により沈没します。

「祥鳳」の沈没は日本空母として初であり、なおかつ戦艦や重巡洋艦を含めた日本海軍主力艦艇としても初の喪失艦でした。そのため、アメリカ海軍にとっては正規空母「リュウカク」を撃沈したとして、戦意高揚のために大きく宣伝しました。

 ただし、のちにアメリカ側は沈めた日本空母「リュウカク」は「祥鳳」だったと把握し、修正しています。そして修正に際しては、「祥鳳」を「リュウカク」として誤認していたと認めています。

【写真】架空のチチブ型重巡洋艦に対抗 米海軍アラスカ級大型巡洋艦

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コメント

7件のコメント

  1. 航空母艦「隆鶴」は納得できるし、巡洋戦艦「秩父」も怪しいけどわからないでもない。

    しかし戦艦「平沼」は……平沼騏一郎からとったのか?

  2. 戦艦平沼が只管浮いてる……リュウホウは『龍鳳』とも取れるし、『秩父』もまあ……(でも普通山系とかじゃなくて山の固有名とか昔の国(地域)名なんだけど、多分関係者にそこまで詳しい人が居なかったんだろうな。)

  3. 戦艦「カデクル」ってのもあった。

    想像するに、誤認+スペルミス。

    「なになに、3号艦は『翔鶴』?」

    「Yamato, Musashiに続いて戦艦だろうね」

    「Hey, このKanjiは何て読むんだい?」

    「Umm, Kakeduruだろうか?」

    「OK, Battleship Kadekuruだね」

  4. さしずめ通信とかで”haruna”というのをどこかで聞いて”hiranuma”に聞こえたのでは?

    今みたいにデジタル通信とかならまだしも、遠方の通信だとノイズもすごいし、命名ルールは知っていても日本の”国名”を網羅した人間は少ないだろうし、こういうのが重なって日本人からすれば”迷艦”が生まれたんじゃないの?

  5. ヒラヌマ以外は結構センスあるな、アメリカ

  6. ソ連の航空機の名前が西側に知られていなくてずっとNATOのコードネームで呼ばれてたなんてのがありましたよね。あと開戦以後の新兵器なのに日本はなぜB-29という名前を知り得たのかと思ったら、極秘のはずの試作機が人命事故を起こして大きく報道されたからだったというのも興味深いです。

  7. ヒラヌマはちゃんと坂井三郎の伝記で出てきますよ。

    B-17の爆撃に被爆したんじゃなかったかな笑

    クサッタクサッタ

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