戦艦「ヒラヌマ」空母「リュウカク」重巡「チチブ」…何者? 米軍記録に残る旧海軍艦

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがあります。実態とは似ても似つかないものでも、実際に存在するかのように伝わってしまうことは多々あります。アメリカ海軍が作り上げてしまった幻の日本軍艦を3種類見てみます。

旧日本海軍最大の重巡洋艦らしい「チチブ」

 前述の「ヒラヌマ」と「リュウカク」の2艦よりも古く、1930年代後半にアメリカ軍が作り上げた日本海軍の架空艦が「チチブ」です。

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旧海軍が太平洋戦争開戦前に建造した利根型重巡洋艦の1番艦「利根」。同艦の排水量は約1万3000トンのため、「チチブ」はこれ以上になる(画像:アメリカ海軍)。

 発端は1933(昭和8)年4月、ドイツにおいて新型軍艦「ドイッチュラント」が就役したことでした。この艦は既存の戦艦と重巡洋艦(1等巡洋艦)の中間にあたるもので、戦艦よりも小型でスピードが速く、重巡洋艦よりも砲撃力に優れるという性能でした。

「ドイッチュラント」の翌年には、2番艦の「アドミラル・シェーア」も就役し、アメリカ海軍は、ドイッチュラント級2隻に対抗するためには、既存の重巡洋艦では対抗できないと考えるようになります。

 同じころ、アメリカ海軍は日本海軍でも既存の重巡洋艦よりも大型かつ強力な新型艦が建造中であるとの情報をつかみます。その新型艦こそ「チチブ型大型巡洋艦」でした。チチブ型は排水量1万5000トン、12インチ(30.5cm)砲を6門搭載するというもので、アメリカ海軍はこの新型艦に対抗可能な、より巨大なアラスカ級大型巡洋艦を建造したのです

 アラスカ級は6隻が計画され、うち2隻が実際に建造されて1番艦「アラスカ」と2番艦「グアム」が1944(昭和19)年に相次いで就役しています。

 しかし、実戦に投入してみると、戦艦ほど砲撃力や防御力に秀でているわけではなく、巡洋艦と比べて速力や旋回性能は劣り、戦闘指揮所などをはじめとした艦内容積の不足なども影響して使い勝手が悪く、現場での評判はあまり良いものではありませんでした。そのため、大戦が終わると2艦は早々と退役しています。

 ここにあげた3艦以外にも、アメリカが作った架空の日本海軍艦艇は存在します。また冷戦中にも、アメリカをはじめとしたいわゆる西側諸国は、架空のソ連兵器を作り上げたことがあります。情報の精査は「言うは易く行うは難し」なのかもしれません。

【了】

【写真】架空のチチブ型重巡洋艦に対抗 米海軍アラスカ級大型巡洋艦

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子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

7件のコメント

  1. 航空母艦「隆鶴」は納得できるし、巡洋戦艦「秩父」も怪しいけどわからないでもない。

    しかし戦艦「平沼」は……平沼騏一郎からとったのか?

  2. 戦艦平沼が只管浮いてる……リュウホウは『龍鳳』とも取れるし、『秩父』もまあ……(でも普通山系とかじゃなくて山の固有名とか昔の国(地域)名なんだけど、多分関係者にそこまで詳しい人が居なかったんだろうな。)

  3. 戦艦「カデクル」ってのもあった。

    想像するに、誤認+スペルミス。

    「なになに、3号艦は『翔鶴』?」

    「Yamato, Musashiに続いて戦艦だろうね」

    「Hey, このKanjiは何て読むんだい?」

    「Umm, Kakeduruだろうか?」

    「OK, Battleship Kadekuruだね」

  4. さしずめ通信とかで”haruna”というのをどこかで聞いて”hiranuma”に聞こえたのでは?

    今みたいにデジタル通信とかならまだしも、遠方の通信だとノイズもすごいし、命名ルールは知っていても日本の”国名”を網羅した人間は少ないだろうし、こういうのが重なって日本人からすれば”迷艦”が生まれたんじゃないの?

  5. ヒラヌマ以外は結構センスあるな、アメリカ

  6. ソ連の航空機の名前が西側に知られていなくてずっとNATOのコードネームで呼ばれてたなんてのがありましたよね。あと開戦以後の新兵器なのに日本はなぜB-29という名前を知り得たのかと思ったら、極秘のはずの試作機が人命事故を起こして大きく報道されたからだったというのも興味深いです。

  7. ヒラヌマはちゃんと坂井三郎の伝記で出てきますよ。

    B-17の爆撃に被爆したんじゃなかったかな笑

    クサッタクサッタ

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