「Go To キャンペーン」で高速バス復興なるか 活用には工夫が必要 その中身&その先
ツアー以外では少ない「高速バス+観光」パック
高速バスは、東京から富士五湖、大阪から有馬温泉といった観光地への路線も充実しています。地方在住者が、コンサートや有名店でのショッピングのため都市へ向かう利用も多く、広い意味ではこれも観光需要といえるでしょう。
しかし、旅行会社に「お任せ」するバスツアーと違い、宿や観光を自身で予約する乗客がほとんどです。そのため、今回のキャンペーンの対象である「旅行会社で、高速バスと観光をまとめて予約」という例が意外と少ないのが現状です。
旅行会社がセット商品を用意すればいい、と思われるかもしれません。確かに、店頭で「〇〇温泉へのバスと宿の予約を」と伝えれば、スタッフが手配してくれます。しかし、いちいち個別に手配するのは、旅行会社としては手間のわりに儲けがありません。一方、パッケージ商品をあらかじめ組むには、両者の在庫(座席と客室)を旅行会社が事前に確保するか、またはITシステムを連携させる必要があります。普段、高速バスの乗客はウェブなど自身で手配する人が多いので、多くの旅行会社は、そこまでの準備をしていません。
両者の商習慣も異なります。旅行会社は、年度を上期と下期に分けて商品を作り、おおむね半年先までの予約を受けています。一方で高速バスは、1か月前(前月の同日)の予約受付開始が一般的です。航空などを利用するパッケージ商品を作る際、旅行会社は「〇時から〇時ごろ発」として予約を受けておき、利用する便が確定してから旅行者に伝えることが一般的です。しかし、高速バス事業者と旅行会社のあいだには、「おおよその時間帯で予約を受けておき、後日に確定」という習慣はなく、ITシステムも対応していません。
それでも、大手私鉄系の旅行会社では、パッケージ商品を用意している例があります。たとえば京王観光は、京王バス東などが運行する高速バスと、河口湖温泉(山梨県富士河口湖町)や昼神温泉(長野県阿智村)の旅館をセットにした「バス&宿」シリーズを用意しています。この商品は、そのままで「Go To キャンペーン」割引の対象になると考えられます。
寝台夜行列車がもっとあれば話は早い。