「Go To キャンペーン」で高速バス復興なるか 活用には工夫が必要 その中身&その先

新型コロナウイルスの影響により衰退した経済再生の刺激策として、政府主導で実施される「Go To キャンペーン」の全貌が見え始めました。観光や宿泊業だけでなく交通にも恩恵は大きそうですが、活用には事業者の工夫も必要です。

支援策は「Go To」だけじゃない!

 今回は国による「Go To キャンペーン」のほか、「地方創生臨時交付金」という支援策も用意されています。地域のために必要な対策を自治体が立案し、国に申請して交付金を得るものです。

 地方創生臨時交付金は観光分野に限定されるものではありませんが、この交付金を活用し、自治体が独自に「地元事業者の高速バスを利用して来訪すれば、運賃の一部を助成」という施策を行うことが期待されます。観光客が来てくれるだけでなく、その足として地元事業者の運行する高速バスが利用されれば、地元経済に貢献します。

「Go To キャンペーン」と異なり、旅行会社を通すことなく、個人がバスと宿を別々に手配した場合にも助成を行えるよう、自治体が施策を設計すれば、先に挙げた事業者以外の高速バスも対象にできそうです。自治体が立案する必要があるので、バス事業者と自治体の普段からの関係の深さや、各事業者から自治体への提案力も問われます。

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高山濃飛バスセンター。新型コロナ以前は外国人の個人旅行客が高速バスで多く訪れていた(2016年10月、成定竜一撮影)。

 高速バスは、「地方の人の都市への足」として成長した経緯から、大都市発の観光客の需要を十分に取り込めていませんでした。一方で旅行会社は、貸切バスを使うバスツアーに熱心でした。両者は、近い存在のようで、意外と協力関係を構築できていなかったのです。しかし、高速バスの成長を支えた地方部では人口減少が進むうえ、新型コロナ後は出張やコンサートで都市へ向かう需要が完全に回復しないことが懸念されます。旅行会社のバスツアーは「お仕着せ」と感じられ個人旅行へシフトが進んでいたうえ、中心的顧客である高齢者層が、新型コロナ感染のリスクを嫌い出控えることが予測されます。

 個人観光客が使いやすい高速バス路線と、それに宿や現地の観光を上手に組み合わせて販売する流通網、というのは、実は以前から求められていたことなのです。一時的な需要回復策にとどめるのではなく、これを機に、個人旅行者が、自身の興味に基づき自分のペースでもっと自由に旅行を楽しめるようになるための改革が始まることこそ、「Go To キャンペーン」の真の目的と言えそうです。

【了】

【画像】「Go To キャンペーン」の対象となる旅行商品

Writer:

1972年兵庫県生まれ。早大商卒。楽天バスサービス取締役などを経て2011年、高速バスマーケティング研究所設立。全国のバス会社にコンサルティングを実施。国土交通省「バス事業のあり方検討会」委員など歴任。著書に『高速バスのビジネス』(成山堂書店)、『「マーケティング感覚」の実装力』(同文舘出版)。新聞、テレビなどでコメント多数。

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1件のコメント

  1. 寝台夜行列車がもっとあれば話は早い。

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