フランス製戦闘機「ミラージュ」シリーズのその名のとおり幻影となったボツ機体3選

フランス空軍の現主力戦闘機「ラファール」が採用されるまで、長らくその座は「ミラージュ」シリーズが務めてきました。しかしなかには、その名が示すとおり「蜃気楼」「幻影」となってしまったモデルも。ボツ機体3種を見ていきます。

成功した「ミラージュIII」の成功しなかった「V」型

「ミラージュ」はフランス語で「蜃気楼」または「幻影」を意味しますが、ミラージュシリーズの30年間以上の歴史のなかには実用化にいたらず、文字通り「蜃気楼」のように消えてしまったモデルも存在します。そのひとつがVTOL(垂直離着陸)戦闘機「ミラージュIII V」です。

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VTOL用エンジンを8基搭載していた「ミラージュIII V」(竹内 修撮影)

 NATO(北大西洋条約機構)は1950年代後半から、有事の際に旧ソ連の先制攻撃で飛行場が破壊された場合の反撃用として、超音速VTOL戦闘機の研究開発を進めていました。VTOL戦闘機の開発はイギリス、西ドイツ(当時)、フランスの3か国で行なわれ、超音速飛行性能をあきらめたイギリスは、紆余曲折の末に「ハリアー」シリーズの実用化にこぎつけます。一方、超音速飛行性能にこだわったフランスは、「ミラージュIII」をベースとする「ミラージュIII V」を開発しました。

「ハリアー」は排気ノズルの向きを変えることで、1基のエンジンでVTOLやホバリング(空中静止)、水平飛行を行ないますが、「ミラージュIII V」は水平飛行用のエンジン1基のほかに、垂直離着陸だけに使用するジェットエンジンを8基搭載するという、「ハリアー」に比べると凝った作りでした。

「ミラージュIII V」は1965(昭和40)年2月12日に初飛行し、1966(昭和41)年9月12日に行なわれた2号機の11回目の飛行試験ではマッハ2.03を記録しましたが、VTOL用エンジンを搭載したことによる重量の増加のため、航続距離や兵装搭載量は実用戦闘機として使えるものではありませんでした。またVTOLから水平飛行への切り替えが難しかったこともあって、「ミラージュIII V」の開発は打ち切られてしまいます。

【写真】最終的には多用途機に カタール空軍の「ミラージュ2000-5」

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