「F-35は欠陥機で売れてない」は本当? 2019年の戦闘機生産シェアから真実を探る
F-35は今世紀最多の戦闘機になる…かも?
前述の通り、旧共産圏の機種を除く世界の戦闘機シェアの実に64%がF-35によって占められています。134機のうち日本向けはわずか6機、最大のユーザーであるアメリカは81機であり、この2国を抜いてもなお47機と、2位のラファールに倍近い機数を生産しています。
F-35の総生産機数はすでに520機へ達しており、総発注数は日本、アメリカ、イギリス、イタリア、イスラエル、ノルウェー、ベルギー、オランダ、デンマーク、ポーランド、オーストラリア、シンガポール、韓国の13か国から3000機を突破、2020年の年産計画は141機、2021年160機、2022年170機とさらなる増産を予定し、ピーク時は年産200機に達します。
今後F-35の導入を決定する国はさらに増えることが推測され、日本国内でのF-35欠陥論とは裏腹に、F-35はほとんど「ひとり勝ち」といってよい状況にあり、21世紀最多生産戦闘機となる(少なくともその候補となり得る)ことがほぼ確実になっているのが現実のようです。
F-16戦闘機の2019年における生産数について
2020年6月末現在、最後のF-16(4588号機)がロッキード・マーチンのフォートワース工場(テキサス州)から出荷されたのは2018年でした。ただしこれは、フォートワース工場をF-35生産ラインに一本化するための一時的な措置であり、2019年11月から新しいグリーンビル工場(サウスカロライナ州)にて、最新型F-16Vの生産が再スタートしました。
F-16の受注数はなお100機を残し(2020年6月末現在)、ロッキード・マーチンはさらなる発注があると見込んでいます。
【了】
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。
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