陸自V-22「オスプレイ」木更津への暫定配備開始…なぜ木更津? この後はどうなるの?

なぜ木更津駐屯地に「オスプレイ」が暫定配備されるの?

 木更津駐屯地内では、2017年からアメリカ海兵隊のMV-22「オスプレイ」が、富士重工業(当時。現スバル)によって整備されており、今回、陸上自衛隊のV-22「オスプレイ」が木更津駐屯地に配備された理由のひとつとして「すでに機体の整備ノウハウを持っている」ということが挙げられます。

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滑走路をタキシングし、回頭しているV-22「オスプレイ」。飛行時間が短いため、エンジン周辺はまだ汚れていない(2020年7月10日、武若雅哉撮影)。

 そのほかの理由として、陸上自衛隊が計画する島しょ防衛態勢を早期に確立するため、実質的にV-22「オスプレイ」へ搭乗することになる「水陸機動団」が所在する長崎県の相浦駐屯地まで比較的、近距離となる木更津駐屯地への配備が決まったといわれています。

 従来のヘリコプターであれば、木更津駐屯地から相浦駐屯地までは途中2回から3回の給油を繰り返し、約6時間程度の飛行時間が必要でしたが、V-22「オスプレイ」であれば無給油で到達可能で、飛行時間も3時間程度となっています。

 相浦駐屯地から近い駐屯地はほかにも多くありますが、どこもV-22「オスプレイ」の整備拠点としての機能は持っておらず、木更津駐屯地が選定されたのは必然的なものといえるでしょう。

 7月10日(金)から5年間、木更津駐屯地への暫定配備が決まっているV-22「オスプレイ」は、この5年間をどう過ごすのでしょうか。

【写真】飛行中の日の丸「オスプレイ」 木更津着陸寸前

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コメント

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1件のコメント

  1. オスプレイ配備関連記事で大半が書かれていないのが、なぜ複数の地権者の方が反対しているのか?なぜよりによってピンポイントでわざわざ佐賀空港が選ばれたのか疑惑が残るということです。

    ネット上では「金目当て補償目当てだろ」という心無い意見が多数ありますが、実際は全く逆です。

    佐賀空港があった場所というのは、元々は資源豊富な漁場です。
    それを「食糧難解消」という理由から国策で広大な面積の貴重な干潟を干拓工事し、農地にします(翻弄1回目)。
    よく佐賀空港周辺は何もないと言われますが当たり前です。それだけの範囲の海を埋めたのですから。
    ちなみにこの時の漁業補償金は“0円”です。
    代わりに干拓地の一部を与えるので農業をやってくれと引き渡されます。

    ところが今度は国が一転して減反政策を打ち出します。
    そして干拓地に空港と農業研究施設を造ると言い始めます(翻弄2回目)。

    地権者らは猛反発し流血騒ぎも起こるほどでしたが、3度目の計画にして「公害防止条例の1つとして自衛隊を含む軍隊の利用は認めない」と文書化したうえで民間利用に限った空港建設を認めます。

    そして今回のオスプレイ配備計画です(翻弄3回目)。

    計画が表沙汰になった時期は沖縄知事選挙直前の時期と重なります。
    多くの利権が絡む福岡空港拡張計画とも被ります。
    (九州国際空港建設地が佐賀空港一帯と荒尾沖の2案に絞られそうになった際、福岡県関係者が集計方法の重みを変更して某外郭団体に候補地選びを一任した結果、建設計画そのものが流れた経緯があります)

    今回の計画にあたり佐賀空港に自衛隊と共用しないという約束があったことを知っていたか否かという質問に対し、国や省庁関係者の答えは「知っていた」「知らなかった」とブレブレでどちらにせよ嘘をついていることになります。
    計画前に現地に出向いていないことも後に判明しています。

    過去の政務官は「環境アセスにひっかからない面積を先ず買う。その後買い増せば調査の必要はない」と経済界向けの会合で話しており、地権者もまだ聞かされていない買収金額も先に漏らしています。

    ちなみに計画が持ち上がった初期の地権者向け説明会では、現在支払い契約中の高価な大型農機具の件について「配備計画が決まってからでないと補償するかどうかもその金額も約束できない」と。

    また、近年の佐賀空港は利用者が伸び続ける一方、設備が小規模な為、福岡空港とは別の意味で“混雑空港”です。
    意外に思われるかもしれませんが、施設不足ゆえに離発着待ちのスタンバイがしばしば発生していますし、増便を諦めたという話もあります。

    それに佐賀空港周辺は国際レベルで知られる熱気球飛行エリアと被っており、双方に配慮した特別な航空管制が行われています。

    長々と書きましたが、佐賀にオスプレイ配備するにしても、上記のようにわざわざピンポイントで佐賀空港を指定するのは揉め事が増えるだけで普通ならば最初の議論の段階で候補から消えてもおかしくない場所なのです。

    にもかかわらずオスプレイに加えて目達原駐屯地のヘリ50機も持ってくるという。それでいて目達原駐屯地は機能縮小しつつ残すという。

    目達原駐屯地周辺住人の方々が納得されるならば既にある目達原駐屯地を活用したり拡張する案もあるでしょう。
    もっと有明海や熱気球飛行に影響が及ばない佐賀平野内でも別の場所に造る案もあるでしょう。
    九州内離島の飛行場を整備し配備する案もあるでしょう。

    数年前の九州豪雨や熊本震災直後、政府は佐賀空港を防災拠点にしたいと言いました。
    あれからずいぶん経ちますが、会議録等を漁ってもその後まともに議論した形跡は発見できませんでした。

    本当に国民の為熟考して決めた計画なのか私にはそう思えませんでしたし、ましてや佐賀や地権者の方々が心無い中傷を受けているのを見ると不憫でなりません。