海を越えた鉄道「欧亜国際連絡列車」 新たに「日本遺産」へ認定 その狙いと背景を聞いた

福井・滋賀の「海を越えた鉄道」認定に関する話を担当者に聞いた

 最後の募集となった2020年度も、鉄道にまつわる日本遺産として、福井県、滋賀県の「海を越えた鉄道~世界へつながる 鉄路のキセキ~」が認定を受けています。本ストーリーは、明治から昭和の時代にかけて物流の要であった北陸本線、さらにはその後、東京の新橋から現在の敦賀港、ロシアのウラジオストクを経由して、ヨーロッパまで渡航できる「欧亜国際連絡列車」の歴史を中心に構成されています。

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北陸本線の旧長浜駅舎。現存する日本最古の駅舎は現在、鉄道資料館になっている(画像:福井県)。

 ところで、日本遺産認定にはどういった狙い、期待などがあるのでしょうか。「海を越えた鉄道」を担当した南越前町役場観光まちづくり課の西田周平さんによると、申請の背景には、(1)広域での観光事業の展開、(2)鉄道遺産の認知向上、(3)地域活性化――などがあったそうです。また、実際に申請する際は、「鉄道遺産というコアな内容の申請ストーリーを、どのように万人受けする内容にするか」という点で非常に苦労したとのことでした。

 福井では2023年に、北陸新幹線の敦賀駅開業を控えています。西田さんは、「日本遺産選定を機に、特に関東圏の観光客誘致に期待をするとともに、観光事業にも積極的に活用していきたい」と教えてくれました。

 日本遺産は、駅舎や橋梁といった施設、設備単体ではなく、その地域の歴史などとのかかわり方をストーリー形式で教えてくれます。鉄道をはじめとした日本遺産を調べてみると、旅の楽しみや目的地探しの参考にもなることでしょう。

【了】

【写真】東京~ベルリン間の欧亜国際連絡列車「貳等」きっぷ

Writer: 蜂谷あす美(旅の文筆家)

1988年、福井県出身。慶應義塾大学商学部卒業。出版社勤務を経て現在に至る。2015年1月にJR全線完乗。鉄道と旅と牛乳を中心とした随筆、紀行文で活躍。神奈川県在住。

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