救急車なのにバリバリ悪路OK! 陸自特有の事情も絡んだ戦闘用アンビュランスとは

1 1/2t救急車の足回りはトヨタ「メガクルーザー」と共通

 1 1/2t救急車は、前述したように悪路走破性を重視しているため、足回りを含めたコンポーネントは高機動車のものを流用しています。

 高機動車とは、陸上自衛隊が調達中の大型4輪駆動車で、アメリカの「ハマー」に似た車両です。一時はトヨタ「メガクルーザー」として市販もされていました。

 1 1/2t救急車は、高機動車が標準装備する4WS(4輪操舵)がなく、小回りはそこまで利かないものの、タイヤ空気圧自動調整システム(CTIS)は装備しており、グランドクリアランスも広くとられているため、災害派遣などで路面がひび割れた所や浸水エリアであっても、ある程度は走破できます。

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1 1/2t救急車の車内。左が担架収容状態、右が座席状態(柘植優介撮影)。

 車内装備品も、高規格準拠救急車ほどではないものの、患者監視装置(バイタル監視装置)や体外式除細動器(AED)、人工呼吸器、輸液ポンプ、ショックパンツ(加圧式血圧改善装置)、酸素ボンベなどを搭載しており、それ以外の医療器具も状況に応じて設置することが可能です。

 一方で、「やはり自衛隊車両」といえる装備もあります。そのひとつが窓のロールカーテンです。これは、最前線などで敵に見つからないよう、車内の明かりを外に漏らさないためのもので、さらに室内灯も通常の蛍光灯だけでなく目立ちにくい赤灯の2種類を備えています。

 しかし乗り心地や公道走行時の性能などでは、やはり一般的な高規格準拠救急車の方が優れているため、使い勝手などの面から駐屯地医務室や自衛隊病院などには、あえて一般の救急車が配備されていることもあります。

【了】

【写真】これまた陸自オリジナル 緑色のハイエース救急車

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Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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