元は中華料理店「居抜きバス乗り場」なぜできた? 実はエポックメイキングだった

実は綱島の街の「生き証人」だった「鶴03」乗り場

 臨港バスは「鶴03」の乗り場について、次のように話します。

「『鶴03』は当社で最も古い路線で、バスの折返所(停車スペース)はずっと当社の所有です。2019年に、隣接するビルがたまたま売りに出たので購入し、待合所を設けたのです」

 臨港バスの源流は、かつてJR鶴見線を営業していた鶴見臨港鉄道です。1930年代に子会社として臨港バスの前身となる会社が発足する以前から、鶴見臨港鉄道が「鶴03」のルートでバスを運行していました。綱島駅が高架化され、その下にバスターミナルができたのは1960年代のことです。

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以前はバスと建物のあいだのスペースに定期券販売所も設けられていた(2020年8月、中島洋平撮影)。

 つまり90年近くにわたり、バス1台分が発着する小さなスペースでやりくりしてきたところ、隣接する物件を購入して、ようやく待合所ができたというわけです。2階の不動産店はそのまま営業していますが、ビルが臨港バスの所有になったからこそ、1階奥からバスの停車スペースへ壁をぶち抜くこともできたのだそう。

 ちなみに、この乗り場には以前、定期券販売所も設けられていましたが、ここから北東に位置する綱島街道沿いの雑居ビルに移転しています。もとコンビニエンスストア、現在は学習塾が入居し、その一画が定期券販売所になっているという建物ですが、「このビルも実は当社の所有です」とのこと。定期券がICカードに変わったため、パソコンなどの端末を設ける必要があったことから、コンビニが撤退したのを機に移転したのだそうです。

【了】

【写真】「居抜きバス乗り場」の待合所内部

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