A-10攻撃機が機関砲を撃つと減速する伝説は本当だった! 最強機関砲は反動もヤバい!
A-10攻撃機がA-10たる理由のひとつが、機首下部に装備された30mm機関砲「アヴェンジャー」といえるでしょう。あまりに強力なこの機関砲、F-16戦闘機への搭載も試みられました。名付けてF/A-16、その顛末やいかに。
A-10の機関砲はまるで逆向きのロケットエンジン!
戦闘機などに搭載される航空機関砲は非常に強力です。種類にもよりますが、弾丸は単なる金属の塊ではなくそれ自体が炸裂する「爆弾」であり、爆弾を1秒間に数十から百発を発射することが可能です。
航空機関砲において最も強力であるとされるものが、A-10「サンダーボルト」攻撃機に搭載されるGAU-8/A「アヴェンジャー」30mm7連装ガトリング式機関砲です。GAU-8/Aの規格外ともいえるパワーにまつわる伝説として「A-10はGAU-8/Aを射撃すると強烈な反動から減速し、失速さえすることもある」とさえまことしやかに語られていますが、この伝説は真実なのでしょうか。
にわかには信じがたいエピソードですが、失速はややオーバーであるにしてもGAU-8/A射撃時にA-10が減速することは紛れもない事実です。
GAU-8/Aの反動の力は平均4500kgfであるとされます。この4500kgfという力はA-10に2基搭載されるTF34-GE-100ジェットエンジンの、1基ぶんのフルパワー推力4100kgfを約1割、上回ります。A-10の標準的な機関砲射撃は1回約2秒程度ではあるものの、ほぼエンジン1基と少しぶんの推力を相殺してしまうことになりますから、状況によって減速は免れません。
機関砲は火薬を燃焼させ生じたガスの圧力で弾丸を押し出しますが、これは固形燃料ロケットエンジンの作動メカニズムと比べて、弾丸があるか無いかの差しかない同一のものであり、いわばA-10は、逆向きに3基目のエンジンを搭載していると言い換えることができます。
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