金剛型戦艦4隻「幻のヨーロッパ派遣」 第1次世界大戦でイギリスが欲しがったワケ

旧日本海軍の金剛型戦艦は、太平洋戦争に参加した日本の主要戦艦のなかで最古参ながら、俊足を生かして最も勇戦したといわれます。そんな優秀な金剛型、就役間もない頃に、ヨーロッパに派遣される話がありました。

大海軍国イギリスが金剛型戦艦を援軍として欲したワケ

 なぜイギリスは、金剛型4隻に目を付けたのでしょうか。それは単に同型が新しいからというだけではありませんでした。

 平時におけるイギリスは昔から、陸海空問わず、特定の兵器に最新技術を導入する際、外国から受注した同様の兵器でその新技術を試し、有効であることを確認したのち、その新技術をより一層洗練させて自国兵器にフィードバックするという手法を多用してきました。

 実は金剛型は、それまでに建造されたイギリスの巡洋戦艦の長所と、オスマン帝国(トルコ)海軍向けの新型戦艦「レシャド5世」(のちイギリスが接収しエリンと改名)の設計を合わせ持った、最新の設計技術が反映された当時最強の巡洋戦艦だったのです。

 しかも、1隻のみならず同型艦含めて4隻もあり、運用するのが同盟国たる旧日本海軍なのであれば、喉から手が出るほどに欲しい「助っ人」でした。

Large 20201029 01
1923(大正12)年、皇太子(のちの昭和天皇)の台湾訪問で御召艦として高雄港外に停泊中の「金剛」。

 この逸話こそ、「金剛型を設計した張本人」たるイギリスが、同型の優秀性をとことん理解していた証拠といえます。そしてのちの第2次世界大戦(太平洋戦争)では、すでに金剛型戦艦4隻は老兵となっていたものの、日本戦艦最速の健脚を生かして、最殊勲というべき見事な戦いぶりを示すことになるのです。

【了】

※一部修正しました(10月30日10時55分)。

【写真】実際にヨーロッパに派遣された巡洋艦「明石」

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  4. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  5. ウクライナ軍の「1000機の無人機」がモスクワの製油所を襲撃!“タンクが吹き飛ぶ瞬間”を捉えた映像を大統領が公開 今後の影響は?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス